Happy New Year!!
「こんにちはー」
きぃ、とドアを開けて、間延びした声でそういって入ってきた人物に、テーブルの準備をしていたミケはぱっと明るい表情になった。
「ミシェルさん!お久しぶりです」
持っていたはさみとテープを台の上に置くと、ミケは入ってきた女性…ミシェルに駆け寄る。
「こんにちはーミケ。お久しぶりー」
誰かが来た様子に、厨房からケイトも顔を出す。
「ミケさん、誰か来たのかい?」
「あ、はい。以前依頼でお世話になった、ミシェルさんです」
ミケが紹介すると、ミシェルは笑みを深くした。
「ミシェルよー、よろしくねー」
「そうかい。あたしはカトリーヌ・ウォン・カプラン。ケイトでいいよ、よろしく」
二人が笑顔で握手を交わしてから、ミケがミシェルに問うた。
「新年会に来てくださったんですか、ありがとうございます」
「うん、リィナに誘われてねー?ちょっと早かったかしらー」
「そうですね、始まるのはもう少し後です。もう少しどこかを回ってきていただいても良いですし、その辺に座って待っていてくださっても…」
「んー、せっかくだし、私も何か手伝うわー。何かすることはあるー?」
ミシェルの言葉に、ミケはうーんと唸った。
「そうですね…飾りつけは僕一人で十分ですし…料理もケイトさんがやってくださいますし…特にすることは……」
「あ、ねーえ?」
ミシェルは唐突に一本指を立てて、楽しそうに言った。
「せっかくの新年会なんだし、来てくれた人におめかししてもらうのはどうかしらー?」
「おめかし、ですか?」
きょとんとするミケ。
ミシェルは手のひらを合わせて頷いた。
「そうー。お衣装は私が用意するからー、自由に選んで着てもらうのー。ちょっとした仮装パーティー?」
「……まともな衣装なんですか、ねぇっ!?」
以前ナースの衣装を着ざるをえなかったミケが、少しミシェルを睨むようにして問う。
ミシェルはころころと笑った。
「やだー、あたりまえじゃなーい。
お衣装はー、すぐ用意できるからー。それじゃあ、そのあとは、ケイトを手伝って、私も何かお料理を作ろうかしらー」
「ああ、何か作ってくださるなら大歓迎です。よろしくお願いしますね。じゃあ僕は、飾り付けが終わったらその料理をテーブルに並べようかな。それくらいでちょうど、ストゥルーの刻になりますよね」
「そうねー。じゃ、早速行ってきましょう〜♪」
上機嫌で厨房に消えていくミシェル。
それが、悲劇の序章になろうとは…約一名を除いて、まだ誰も知らなかった…。
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ストゥルーの刻−真昼の月亭へ
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