第1話辞書

  • 青い髪の女性
    アフィアが探している誰かであるらしい。詳しくは、「続・喫茶ハーフムーンへようこそ!」を参照のこと。
  • アフィア
    リーには世界設定質問掲示板で何度か質問をしているので、初対面のような気がしない。
  • グレイ
    セレストの従兄弟叔父。従兄弟叔父というと、祖父母の兄弟の息子、つまり親の従兄弟。タラちゃんの立場から見てノリスケさんにあたる。
  • セル
    ユキの師匠の兄の一人。若干マッドサイエンティストかつ横暴室長。詳しくは「続・喫茶(以下略)。
  • セレスト・ランカスター
    名前で呼んでもらえる従兄弟叔父に若干ジェラシー。マダムに接し慣れている魔道塾の塾講師。
  • チェレスタ・ランカスター
    私が大好きな義兄妹マンガの作家さんは、「呼び方が変わる可能性はただひとつ、『にーちゃん』が『パパ』になった時」とおっしゃってました。がんばれセレストさん。
  • ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス
    誰がどう見ても空き巣なのに「ちょっと家の様子がおかしい」で済ませる豪気かつのんびりなお母さん。基本、目をつぶっていても見える。
  • ミーケン=デ・ピース
    リーともミシェルとも、さらにミシェルのストーカーとも知り合いという美味しい立場の魔術師。
  • ミカエリス・リーファ・トキス
    フルネームは↑。それを名乗らないのも、家の近くにある真昼の月亭で依頼を出さなかったのも、理由があるらしい。今は逃走で頭がいっぱい。
  • ミシェルそっくりな人
    ばっかもーん!そいつがルパンだ!……すみません言ってみたかっただけです。
  • ミレニアム・シーヴァン
    ミシェルのストーカー。詳しくは「マジカル・ウォークラリー!」を参照のこと。
  • ユキの師匠
    早速ミシェルに見破られてる。
  • ユキレート・クロノイア
    師匠探し中の天然少女(実は20代)。師匠の兄弟にも、実は師匠本人にも甘やかされまくりの愛されウーマン。

第2話辞書

  • アフィア
    見かけによらず力持ち。ミケを抱えて走ってもミケが走るより速い。
  • セレスト・ランカスター
    一応魔道塾の講師なので魔法には詳しいですが、ゴーレムは専門外。
  • 都市伝説
    まことしやかに囁かれているが噂の域を出ないもの。コックリさんとかクチサケとか100キロババアとか。
  • ドッペルゲンガー
    ドッペルはドイツ語で、英語で言う「ダブル」。説明はセレストがした通り。医学的には、脳の特定の部位に腫瘍が出来ると自己像幻視の症状が出るとのことで、ドッペルゲンガーを見るとまもなく死ぬ、というのはあながち都市伝説でもない。
  • ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス
    実はびっくりするほど中2病。娘のために大好きな人形のフリをするが、根本的なことは自分が辛いからやらないお母さん。
  • マスター
    ゴーレム目撃者その2。公言されたらさらにお客さんが減るような秘密を抱えている模様。
  • ミーケン=デ・ピース
    体力は魚よりない。いいんです魔術師だから。
  • ミカエリス・リーファ・トキス
    ゴーレムに育てられ、ゴーレムを母と慕う娘。ミシェルとは他人親子。
  • ユキレート・クロノイア
    いろいろ質問をしてみたけど戸惑い気味の愛され娘。

第3話辞書

  • アフィア
    意外とクーデレ。クールに振舞って時々デレ。探し人とはすれ違いまくり。
  • アル
    ユキの師匠の兄。リスカしてた人の方。
  • エリー
    リーの「素直でない恋人」の名前。男性です。そしてよく考えたらミケさんは素直じゃないエリーを知らない。まあいいか。
  • ゼヴェルディ・シェール
    アフィアとユキがお世話になった(お世話した?)魔具創作者。ミシェルが危険視する程度には危険人物。
  • セレスト・ランカスター
    一番冷静に現状を分析して下さいました。そして一番的確に話のテーマを捉えてくださってました(笑)さすがは先生。でもチェレに名前は呼んでもらえず。がっかり兄さん。
  • セル
    1話冒頭に出てきた、ユキの師匠の兄。傷ついた目で冷たく笑ってた方。
  • ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス
    中2病の病原というのは、極端な「自己評価の低さ」にあると思うのです。価値あるものは夫で、自分に価値などないと思っているネガティブなお母さん。
  • マスター
    2話で休憩してた喫茶店のマスター。ユキと師匠のあれこれをちょっと知ってる。そしてミシェルには嫌われてるんだけど……ちょっとおまけ。
  • ミーケン=デ・ピース
    母さんの死がトラウマになっている末っ子のワガママ炸裂。この結末は、果たしてミケさんのお気に召したでしょうか。どきどき。
  • ミカエリス・リーファ・トキス
    いろいろ言ったけど、かなり満足。というか多分コピーの部品使って人形だけ作ってもらったとしても、あの状況なら満足したんだろうな。ミケさんのおかげです。
  • ユキレート・クロノイア
    恋を自覚したと思われる乙女。これから頑張って師匠を探すのです。まあすぐそばにいるんですけどね。
  • リグ
    ユキの師匠。俺を探せと言いながら、実はストーカーのようにユキのそばで見守っている。
  • ロッテ
    リーの「小悪魔な」旅の連れ。小悪魔が最近私の中でブームなんです。ああ小悪魔。

総合辞書

  • アフィア
    姉を探して旅をしている、青龍族の少年。人間の社会、人間の言葉に慣れておらず、またそれらに興味もないことから、淡々とした喋り方をする。実直で融通が利かないが、効率的に物事を考え、またそのように発言する。探している姉とは方々ですれ違うが、まだ一度も会えていない。
  • アルドレッド・ファレゼ
    ユキの師匠リグの兄。情報屋を営んでおり、リグとユキの思いに気づきつつも温かく見守っている。
  • カールヴェクトロ・デル・エスタルティ
    喫茶「ハーフムーン」の経営者である青年。魔貴族エスタルティ家の現当主の末弟で、リーと旅をしている少女ロッテの叔父にあたる。家の権力争いに嫌気が差し、趣味の造形を心おきなく楽しむために現世界に移り住み、喫茶店のマスターをしながら造形師「かるろ」としてそのテの人々の尊敬を一身に集めている。
  • グレイ
    セレストとチェレスタの従兄弟叔父にあたる男性。冒険者となって家を出てしまったため、母、つまりセレストの大叔母のくっつけババアパワーが一身にチェレスタに向かうことになってしまった。
  • ゼヴェルディ・シェール
    本名ゼヴェルディ・ファーナ・イグシェール。魔具創作に特化した能力を持つ魔貴族で、現在は現世界にとどまり、何かを探しながらマジックアイテムの作成をしている。ミシェルとは面識はないが、互いに存在を認識しているらしい。
  • セレスト・ランカスター
    ヴィーダで魔導塾を営む青年。穏やかな物腰で面倒見が良く、優しく冷静な好青年。最近想いの通じ合った従姉妹のチェレスタが自分の名前を呼び捨てにしてくれないのが現在のもっぱらの悩み。
  • セルシーク・ファレゼ
    ユキの師匠リグの兄。アルの弟。謎の研究をするマッドサイエンティストで、ユキを溺愛している。
  • チバ・ロッテ・マリーンズ
    リーと共に旅をしている、魔族と人間のハーフの少女。快活で奔放、刹那的で快楽主義な性質はリーと正反対だが、なぜか馬があって仲良くやっている。
  • ティーフロット・トキス
    ミシェルの夫であり、リーの父。生物学者を生業としていた穏やかな物腰の男性で、その優しさと慧眼でミシェルの本質を見抜き、愛情をもって支えていた。リーが幼い頃に老衰で死亡。
  • パルテノ
    アフィアの姉であり、ある目的を持って世界を旅している女性。弟が自分を探していることは知らず、生来の運の悪さからすれ違いが続いている。
  • ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス
    人間の男性に恋をし、降下した天使の女性。降下前は『最も賢しき者』のファーストネームを戴いた、賢人議会の議長であった。が、その実、周りの意見に従うのみの人形のような自分に絶望していた。降下後は夫ティフとの間にリーをもうけ、夫を亡くした痛みを癒すために何年も遺跡に閉じこもっていた。現在は自分の知識を問題のない範囲で魔術師ギルドに提供し、「天の賢者様」と呼ばれている。
  • ミーケン=デ・ピース
    魔道士として生計を立てている青年。リーともミシェルとも別々の依頼で面識があり、彼女たちの事情を知る数少ない人間のひとり。自身が幼い頃に母親を亡くしている経験から、母という存在を無くしそうなリーに肩入れしていた。
  • ミカエリス・リーファ・トキス
    ミシェルとティフの間に生まれた、天使と人間のハーフの少女。幼い頃は父を亡くし、絶望のあまり引きこもってしまった母が用意した世話用ゴーレムと共に暮らしていた。優しく思いやりがあり、頑固なまでの正義感を持つ。現在は恋人であるエリーと、旅の途中であった魔族のハーフロッテと共に旅をしている。
  • ミレニアム・シーヴァン
    本名ゲルソライト・ミレニアム・シーヴァン。ミシェルを追って降下した天使の女性で、現在はフェアルーフ王国魔道士養成学校の校長を勤めている。ミシェルを追って降下してきたため、彼女の動向をいつも把握しており、いつか直接対面する機会を伺っているらしい。
  • ユキレート・クロノイア
    姿を消した師匠を探し続けている女性。純真で汚れのない心をもっているが、師匠から教え込まれたのは卓越した暗殺術である。
  • リグトゥ・ファレぜ
    ユキの師匠。ユキに自分を探すよう課題を出して姿を消すが、その実姿を変えていつもユキの近くで彼女を見守っている。
  • レスティック・エリウス・サラディ
    通称エリー。天界からリーの「監視」の名目で現世界に降り、彼女と旅をしている天使。リーとは恋人同士であるが、父親がミシェルの降下前の因縁の男性であるため、ミシェルは彼のことをあまり良く思っていない。

おまけ

からん。
ドアベルが鳴って、マスターは笑顔で来客を出迎えた。

「いらっしゃー………あれー」

現れたミシェルの姿に、目を丸くするマスター。

「お姉さん、もう来ないんだと思ってたよー」
「あなたに、お願いがあって」

ミシェルは本来の淡々とした表情で、マスターに言った。

「お願い?僕にー?」
「ええ。お礼はするわ」
「うそん。なに、どーしたの?だってお姉さん、ロッテちゃんが連れてる天使ちゃんのお母さんでしょ?」

一瞬の沈黙。

「………意外に知ってるのね」
「そうだねー、お姉さんが僕のこと知ってる程度にはねー」
「……カールヴェクトロ・デル・エスタルティ。
魔界屈指の貴族、エスタルティ家の現当主の末弟。
魔界随一と囁かれるほどの変形術の使い手だが、権力争いの激しい家を嫌って現世界に移住、人間を模した人形制作に力を入れている……」
「うわお。僕、天界でそんなことになってんだ」
「……現世界に移住した魔族なんて、監視がついて当然でしょう」
「この店は天使に監視されています……視姦プレイかー、僕どっちかって言うと攻めるほうが好きなんだけどなー」
「……あなたの作品を見たことがあって。あなたの魔力波パターンは知っていたから、すぐにわかったわ」
「僕の作品?」
「……おしゃべりマーシャたん3号スク水バージョン、ライトアップステージセット……」
「あー、あの頃は僕も若かったからなー、作品作るのにちょっと魔法使っちゃったんだよねー、黒歴史だよー。やっぱ自分の腕一つで勝負しなきゃ本物の造型師とは言えないよね!」
「コメントを求められても困るのだけど」
「てか、そんなんサンプルとして天界に持って帰らなきゃならない天使さんも気の毒だねぇ…」
「同情しないでちょうだい、余計惨めになるから」

ミシェルは嘆息すると、無理やり話題を切り替えた。

「とにかく。人形を作るのが得意なんでしょう?1体、作って欲しいの」
「え」
「あなたが見た、私のゴーレム。あの髪の毛と服を使って、普通の人形に見えるものを作ってもらいたいの。中に、私の作ったものを組み込んで」
「なるほど。そーゆー結論に落ち着いたわけね。でもいいの?よりによって魔族に技術漏洩はまずいんじゃなーい?」
「音声認識して適切に返答を返す魔道システム自体はマヒンダにも提供しているものだし問題ないわ。それに、この店で事情を話した時点であなたに対する何らかの対策が必要でしょう。
私のことの口止めも含めて。人形を作ってくれるなら、相応のお礼はするわ。私にできることなら言ってくれて構わない」
「んー、僕あの天使ちゃんに嫌われちゃってるんだけど、大丈夫?」
「製造元はリーには内緒にしておくから問題ないわ」
「いいのそれで」
「世の中には知らなくていいことが山ほどあるのよ」
「ふぅん……」

マスターはしばし黙ってミシェルを見据える。
ミシェルも黙ってマスターの返事を待った。
やがて。

「じゃあ、さ」

マスターはにっと笑って、ミシェルをぴっと指さす。

「ミシェルちゃん、だっけ」
「…?」
「お連れさんが呼んでたお姉さんの名前。ミシェル、っていうのはわかったよ。
教えてよ、お姉さんの名前。お姉さんばっかり僕のフルネーム知ってるのって不公平じゃない?」
「…ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス」
「うんうん、ミシェラヴィル、でミシェルちゃんね。僕のことはカーリィでいいよー」
「おそらく名前を呼ぶ機会はないと思うから教えてくれなくて結構よ」
「ううんいけずー、そんなこと言わずにさ」

ぱちん、と片目をつぶって。

「また、たまに来てよ。この店、客少なくてさ。
そしたら、人形つくったげる。他にお礼もいらないよ」
「…………」
「あれーその顔は信用してない顔?なに、お礼は体で払えとか言ったほうがよかった?」
「その方がまだ交換条件として納得がいくわ」
「んー、僕残念ながら成人女性に興味ないんだよねー」
「リーに手を出したら許さないわよ」
「天使ちゃんだって立派な成人女性じゃーん」
「…あなたの成人の基準が気になるけど教えてくれなくていいわ」
「ま、人形作るのは僕も大好きだしさ。正直、ミシェルちゃんの作ったモノにも興味あるんだよね。
だから、それが報酬ってことで。あとはたまにお客さんになってくれれば、もう僕はそれだけでおなかいっぱい、ってこと」
「………わかったわ」

ミシェルは嘆息して頷いた。

「たまに、来るわね。あなたの美味しい紅茶を飲みに」
「わ、ありがとー♪よーし、そんじゃあパパはりきって作っちゃうぞー」

楽しそうなマスターとは対照的に、諦めたようにため息をつくミシェル。
こうして、人形は作られることになったのだった…。