予告
時刻はストゥルーの刻。 ヴィーダの中心部にある中央広場から、少し横手に入ったところにひっそりと佇む酒場「真昼の月亭」。 ディナータイムも終わり、そろそろ深夜の常連が訪れようかという頃。 扉が開き、20代後半ほどの銀髪の女性が入ってきた。 | |
ミシェル | こんばんはー。 |
アカネ | あっ、ミシェルさんじゃないですか。お久しぶりです。 |
ミシェル | おひさしぶりー、相変わらず元気にやってるみたいねー。 |
アカネ | はい、おかげさまで。ヴィーダに来るなんて珍しいですね。 |
ミシェル | そうでもないのよー。こないだちょっと用があって来ていたのー。 |
アカネ | えーっ、なら寄ってくれればいいのに~。ひどいですぅ。 |
ミシェル | ごめんなさいねー。急ぎの用だったものだからー。 |
アカネ | そうなんですか。でもお元気そうで安心しました。その服も変わってないですね、臙脂色のハイネックに灰色のロングスカート、ブラウンのショール。そのうねうねのウェーブがかかった髪とか、いつも目をつぶってにこにこしてるのと合わせて、あぁミシェルさんだなーって感じしますよ~。 |
ミシェル | うふふ、アカネがいつもそのメイド服みたいなエプロンドレスを着てるのと一緒よー。変えの服はないのかなんてつっこんじゃだめー。 |
アカネ | ですよねー。っていうかミシェルさん |
ミシェル | なあにー? |
アカネ | どうして私たち、こんな普通なら言わないような見た目のことをくどくど言ってるんでしょう? |
ミシェル | それはねー、これは台本形式だから、セリフで言ってあげないと外見の描写がわからないからよー。 |
…それくらいト書きでしますよ。 | |
ミシェル | あらそうなのー?それはごめんなさーい。 |
見りゃわかるのに髪形や服のことわざわざ言い合ってたらキモいじゃないですか。 | |
ミシェル | でもCDドラマとかだとたまに聞くわよー? |
あれは特別です。ていうかそのCDドラマはどうよ。 | |
アカネ | ミシェルさん誰と話してるんですか? |
ミシェル | いいえーこっちの話ー。ちなみにアカネの描写が適当なのは、設定がないからよー。 |
アカネ | わ、私ってその程度のキャラなんですね… |
ミシェル | その辺はオトナの事情があるのよー。気にしちゃダメよー。 |
アカネ | …うぅ…わかりました。 ところで、ミシェルさん今回は何でヴィーダに来たんですか? |
ミシェル | うふふふー、ちょっと、お願いしたい仕事が出来てねー。 |
アカネ | あ、依頼ですかー?でもこんなところじゃなくて、風花亭に行ったほうが冒険者さんはたくさんいますよ? |
ミシェル | あそこはちょっと私、苦手なのー。貼らせてもらってもいいかしらー? |
アカネ | もちろんですよ!お預かりしますね。 …なになに…遺跡探索代行者急募… …遺跡に行かれるんですか? |
ミシェル | そうなのー。 でも私も最近年なのかしらー、遺跡に潜るほど元気がなくてー。 だから、私の代わりに遺跡を探索してくれる人を募集しようと思うのよー。 |
アカネ | なるほど。なかなか破格のお値段じゃないですか。きっとすぐに集まりますよ。 |
ミシェル | うふふ、だといいわねー。 |
アカネが依頼用の掲示板に貼り出したのは、こんな依頼票だった。 『遺跡探索代行者急募 古代の遺跡を当方に代わり探索してくれる冒険者募集。 場所はゼゾ。 遺跡内は罠及びモンスター生息の恐れあり。 経験と実績のある冒険者を望む。 当方が希望するもの以外の取得物は発見者の所有としてよし。 報酬は成功後に一人金貨5枚。交通費他は支給。 他、当方魔道関係の職であり、マジックアイテムや知識なども提供可。 募集人数は10名まで。 依頼人:ヒューリルア・ミシェラヴィル・トキス』 | |
アカネ | これでよし…っと。冒険者さん、来るといいですね。 |
ミシェル | うふふ、そうねー、来るといいわねー。 |
ミシェルが望むものとは?そして、それが眠る遺跡とは? 冒険者達は、数々の罠やモンスターを潜り抜け、遺跡の謎を解き明かすことが出来るのか? 謎の遺跡を舞台とした大冒険の幕が今、開く。 | |
ミシェル | 誇大広告は訴えられるわよー。所詮ギャグなんだからー。 |
…すんません。 |