予告
「あの女は…わたくしの村を滅ぼし、村に伝わる至高の宝を奪っていきましたの……」
真っ白い、きめ細かな肌。
真珠をそのまま糸にしたような、つややかな白い髪。
くっきりと切れ長に整った、静かな情熱の込められた青い瞳。
長く流れる髪を後ろで緩やかにまとめ、見事なボディーラインを惜しげもなく強調した、独特のデザインの赤い装束に身を包んでいる。
髪の隙間から覗く白い毛に包まれた耳、後ろに大きく伸びる同様の尻尾が、彼女がホワイトドラゴンであることを主張していた。
彼女は耐え忍ぶように目を閉じると、続けた。
「あの女が姿を消してからずっと…ずっと、この手で仇を取るために、探し続けてきました。
けれども…わたくし一人の力には、限界がありました……」
きゅ、と、赤く彩られた爪先に力がこもる。
「恥を忍んで、お願い申し上げます。
あの女が持ち去った宝は、膨大な力を秘めたモノ。
あの女の手の内にあれば、いずれ良くないことが起こるでしょう。
わたくしだけの問題ではないのです。
どうか……わたくしのお手伝いを、してはいただけませんでしょうか?」
真剣な眼差しには、抑えきれない激情と、そして憎しみとがこもっている。
「わたくしの家族を、友人を、残らず奪い去ったあの女を…赦す事はできません…
わたくしがこの手で……仇を取るのです……!!」
虚空を睨んで、震える声で仇の名を告げる。
「……パールフィニア・セラヴィ……あの女を…探してくださいませ……!」