満を持して?(色々と満を持しすぎですが)推理ですさあ来やがれ、と銘打って募集したシナリオでした。
ミニプリでの反省点「推理にしては情報を出し惜しみしすぎ」、イノシンでの反省点「推理と銘打ってないのに推理やるな」を踏まえ、本格推理への挑戦を目標に作ってみました。挫折しましたが(笑)

推理ですよと言うからには、かなり明確に「GMとPLの勝負」になってまいります(笑)
すなわち、GMはどこまで情報を提示するか、結論に向かって誘導するかが話を進めるにあたっての鍵となってきます。
しかし、あからさまに誘導されて結論にたどり着いても、「推理」をしたくていらしたPLさまにとっては物足りないものとなってしまうのではないかと思いました。どうせGMの書いたシナリオに載せただけでしょ、みたいな(笑)
ということで、推理の重要な要素となる「情報」を、「求めた分だけ出します」という形式にしたのです。
そうすれば、PLは能動的に情報を求め、能動的に事件を解決することができます。そして、「解決できなかったのは情報収集が足りなかったからだよ」ということも言いやすい(笑)そのために予告に「調べ方によっては重要な情報を取り落とすことがあるよ」ということもばっちり申し上げました。すげえケンカ腰です(笑)
このような、「PLの能動性を求めるシナリオ」、まあつまり、「PLが自分から動いてくれないと成立しないシナリオ」というのは、PLさまが動いてくだされば大変劇的に面白く話が進むわけですが、そうしてくれなかった場合劇的につまらなくなる、という諸刃の剣です(笑)一応その予防策というか万一PLさんが動いてくださらなかった場合の対応策として「解けなかったらNPCが解く」という要素を追加したわけですが。
しかし、この心配は要りませんでした。というか、もしかしたらこの「解けなかったらNPCが解いちゃうよ」という注意書きがかえってPLさまの闘争心に火をつけたのかもしれません(笑)10名の募集に対して7名と、M:Iに引き続き定員割れを起こしたわけですが(笑)その分、既参加PLさまがたは猛者ばかり、新規の3名の方々も非常に積極的に掲示板に書き込みなどしてご参加くださり、掲示板は開設以来初めての50レスを叩き出しました(笑)それも、1レス1レスが非常に書き込まれている充実したもので、これはとてもいい方向に働いたな、と思っています。

で、いざ推理シナリオをやってみてわかったんですが、推理の内容、謎の内容を考える以上に、「PLの誘導」が非常に、ひっじょおぉぉぉぉに難しいのです(笑)
情報を出しすぎてもあからさまな誘導になってしまう。しかし、あまり出さなすぎてもPLはどうしていいかわからなくなってしまうわけです。出来るだけあからさまな誘導にならないように、けれどそっちに走っても正解にはたどり着かないよというPLの思考経路は塞ぎ、なおかつ正解に導けるような糸口をわかりやすく提示して正しい方向に誘導しなければならない。

勘弁して下さいよ、GMは完璧超人じゃないんでそんなんパーフェクトにやるのは無理です(笑)

調べて出た情報の中には、有用なものとそうでないものがあります。その取捨選択をするのは当然PCでありPLです。でも、その取捨選択の基準を、もう少しわかりやすく、GMの方で提示できればよかったな、とは振り返ってみて思います。
が、じゃあどうすれば良かったのかと今考えてもどうするべきだったのかよくわかんねっす(笑)さじ加減が難しいというか、これだけ情報を与えてもPLさまのほうでどのように受け取られるのかというのが全く未知数なので。こちらとしても様子を見つつ対応していくしかない。
顕著なのが第3話でのハンス医師ですね。4話のあとがきでも申し上げましたが、誰一人として「何でカエルスは病気になったのか」不思議に思う方がいらっしゃらなかったんですよ(笑)だから、「クロの主治医」としての面から切り込んでいくしかないわけですが、クロはそもそも病気であることを隠している。じゃあカウの方を示唆すればよかったんですが、カウの病気の原因は正直、あたしとしては重要ではなかったんですよ(笑)4話では無精子症のことを言及しましたが、あれもそもそも「カウをすっとばしてウルに復讐をする」という説の反証として必要だっただけで、その説が出なければ必要ではないわけです。カウの病気も無精子症も、クロの動機に直接関わっている訳ではないのですし。だから、下手に「カエルスさんもあんなに元気だったのに、どうして急に病気になっちゃったのかしらねえ」なんていうことを言い出せば、「クロがカウに毒を盛ったのでは」という考えが出てきかねない(笑)そうしたら今度はそっちを否定する証拠なり証言を挙げなくてはならないわけで、収拾がつかなくなってきてしまうのです(笑)
こういう風に、「そんなつもりで挙げたわけではない証言」を、こちらの意図しない方向に考えられてしまう、ということが、2話ではかなり痛かったんですよ。ははは、今だから言ってしまいましょう、「クロはカウの息子、つまりクロ・ウル・レアは全員兄弟なのではないか」という考えは、あたしにとっては全くもって予想外のリアクションでした(笑)
クロ・レアの兄妹の示唆だけ、したつもりだったんですよね(笑)レアの兄の話もそうですし、そもそも「クロノス」と「レア」という名前がギリシャ神話の兄妹神から取っていて、というか兄妹の神をすごい探してきてつけたんで(笑)
でも、クロの言うことなら聞くからクロが息子なんじゃないか、という説が出てきたことがすごく(あたしにとっては)意外で、それを否定するのに必死になって2話で色々やってたら、PLさまの進む方向性を見失った、みたいなところがありまして(苦笑)
カウがクロを取り立てる理由というのは4話で言った「彼が獅子しか認めない気性であった」という一言に尽きるのですが、それも理解してもらえたかどうかすごく不安…(笑)クロが息子かと訊かれて爆笑したのも、彼は自分に子供が出来ないことを知っていて、「ウルじゃなくてクロを息子にしても面白かったかもねえ」という意味合いでなんですが。結局カウは限りなく魔族寄りの精神構造をしていて、「やれるもんならやってみろよ、見ててやるから」みたいな感じだったんですね。それで最終的に自分が殺されちゃったり損をすることになってもそれはそれで満足、みたいな。それが、「自分が損になるかもしれないことをあえてやるからには必ず自分が得になるような理由、あるいは人間の情的な理由があるはず」という価値観の元に考えを組み立てている方にはなかなか理解してもらえないな、というのはちょっと感じました。チャカにしろリリにしろこの人にしろ、そういうところを結構描写してるんですけどなかなか理解してもらえないみたいでちょっと歯がゆいです(笑)どうでもいいっちゃいいんですけど(笑)
閑話休題(笑)
延々喋ってきたように、「こちらの意図しない捕え方をされてしまう」ということがかなり痛かったので、用心した結果方向性が定まらなくなる、ということに陥ってしまい、苦肉の策としてハンス医師の名前を出した、みたいな感じになったんです(笑)
ねっ、難しいでしょう(笑)さじ加減が重要というか、小さじ1杯の砂糖を投入したら全く未知の味になっちゃいましたどうしましょう、みたいな感じだったんです(笑)
そうか、そういう捕え方も出来るんだなー、と、かなり感心しきりな反面、これどうすんべー、という状況に陥ってしまったと(笑)
結局、みなさん「こういう事実なんじゃないか」という仮定を確定にするための証拠探しとして「情報収集」をしているわけで、そこに望む事実がなかった場合、急に放り出されてしまう、ということになってしまうのかな、と。
具体的に言うと、先ほどの「クロはカウの息子、つまりレアもカウの娘、ではなくてもクロの妹、少なくともクロはウルの兄」という事実を確認すること、に第2話は終始してしまった。けれどこっちで用意している事実はそうではないわけで、それを否定する証言なり証拠を返すしかない。ええっ違うの?じゃあどうしよう、となるわけです(笑)調べている方は、その事実を確認した先に殺人なり自殺の動機や証拠があるはずと考えてやっている訳ですからまあそうなりますよね(笑)
正直、クロの方の家族にスポットが当てられると想定していたので、ネクス側の事情は聞かれて初めて考えげふんげふん(笑)
というように、GMとしては「そっちじゃないよ、違うよ」と言うために色々と策を弄していたんです。これでも(笑)
そもそも、あたしのほうで提示したい事実は「クロがガイアデルトに潰された会社の息子で、復讐のために会社に入り込んでいて、邪魔なチャカを消しつつ妹であるレアをウルにあてがって商会の乗っ取りを完成させようとしている」ということだけで、その他の情報は余計っちゃ余計。でも「この情報余計です」と宣言するわけにも行かない(笑)「そこには情報はありませんよ」と返せば、「無いなんておかしい!怪しい!」と返されかねない(笑)「求められた情報は提示します」方式の落とし穴です(笑)
で、「それは違うよ」示唆の一環として、不要な情報である医者のことより先に、クロがガイアデルトに復讐しようとしているという事実を提示したかったので、その為にユリを出してきたんですよね。「商会への怨恨じゃないか」と口に出した方はいましたが、具体的に調べた方はいらっしゃらなかったんで。具体的な方法はともかく、「商会に恨みを持つ人たちを洗う」という行動を出した方がいれば、その方向からクロの名前が出て、ユリは出さなかったと思います。
が、ユリをかなり挑発的に登場させて、そちらの方向から事実を追っていただこうとしたわけですが、あやうく総スルーされそうになってなんか乾いた笑いが出てきちゃいました(笑)ユリを出したことをそんなに重要と捕えられなかったか、ユリが怖かったかは知りませんが(笑)ユリそんなに怖いかなあ。怖いですかそうですか(笑)

と、反省点はあれど解決法は見つからない、あちらを立てればこちらが立たず、のなんともすっきりしない展開になったわけです。まあ現実はこんなもんだ(笑)
そう考えると、これはこれでひとつの結末だしひとつの形だよなと(笑)長々喋ってきてこの結論(笑)ああすっきりしない(笑)

ということでぐだぐだの言い訳は終了して、元ネタの話をしてみようと思います(笑)

H&Sでお話したとおり、これは今はもう辞めてしまったGMさんとのコラボシナリオとして漠然と考えていたものでした。
結局そちらは形にならず、H&Sみたいなのやろう、という話になって保留となり、結局H&Sもやらなかったというオチになったわけですが(笑)まあ、よくあることです(笑)頭の中にあるうちは何だって名作です(笑)
さらにぶっちゃけるとですね、判る方だけ判っていただきたいというか参加していた方は知ってるし過去リア読めば判ることですが、レアのポジションにいるはずだったNPCは、くだんのGMさんのPCである彼がシナリオから退場するときに、あたしが勝手に出した(問題の回のアクションを彼の人は出さないまま放棄となりました)、彼の双子の妹、になる予定でした(笑)

まあ要するにアレだ、殺人事件と見せかけて、実は詐欺事件ですよという話なんです(笑)あそこで登場したあの妹ちゃんは、詐欺師なんですね(笑)
コラボシナリオでは、異国の王室を舞台に、あたしの方ではチャカに誑かされた王子を救って欲しいという従者の依頼を受けるところから、もう一人のGMさんの方ではその国に訪れた旅芸人一座に加わるというところから話が始まります。その一座の中でひときわ目立っていたのが問題のNPC。名前がないと不便なのでレアにしましょうか(笑)が、一座の芸をお忍びで王子が見に来ていた時に、その従者が殺され、疑いがレアにかかってしまう。
一座の側のPCはレアの疑いを晴らすために、王室の側のPCはチャカの仕業だと暴くために謎を解いていく、という話です。

で、ここでイノシンでお話した「解いた後にもう1段階ありました」という話が絡まってくるわけですね(笑)
要するに、事件は間違いなくチャカの仕業で、それを解き明かして事件は一度解決するわけです。バトルがあってもなくてもいい。
最終的にチャカが首謀者として暴かれ、王子を誑かして王室乗っ取りをかまそうとしたとして糾弾、暴かれて去っていく。王子は疑いをかけられたレアに謝り、二人がいい雰囲気になって終了。
で、話は一旦ここで終了、「まだ、何かありますか?」というフォームを用意し、そこからアクションを送ってきた人たちだけでアンコールもう1回。
実はチャカは、レアに頼まれて、彼女が王子を射止めるために一連の事件を起こしたのです。「月魔」のように、一度悪人から善人に移行した人が、まさか悪人だとは人は思わないもの。一度濡れ衣を着せてしまったという罪悪感も、虜にさせるには十分な要素です。
レアははじめからそれを狙って、チャカに王子を篭絡させ、自分が王子を篭絡する障壁となる従者を、あえて自分に容疑のかかる場所で殺してもらったのだ。
…という話に、なるはずだったんです(笑)

でまあ、ご存知の通り形にはならなかったので(笑)一人GMシナリオへとリライト。
もともとそんなに細かいところまで決まってはいなかったのですが、話を固める最大の障壁となっていたのが
「チャカはそんなことしませんよ」
ということなんです(笑)なんて根本的な(笑)
なんていうのかなあ、つついたら面白そうではあるけれども、彼女自身が手を下すというのは彼女の関わり方とは違うんですよね。
チャカは人間が人間以外のものに足を踏み出してしまう、最後の一押しをするだけなんです。
ですから、チャカはあくまでも巻き込まれた傍観者で、なおかつ事件が起こる原因でなくてはならない。
ということで、レアを王子ウルのヨメにするために孤軍奮闘するキャラクターを作りました。それが他でもない殺された当人である従者、クロ、というわけです。
チャカは予定通りウルを篭絡。でも、クロがウルを騙してレアをヨメにつけようと思う原因でなくてはならない。
ということで、チャカはクロが復讐をする原因となった、ウルの父親をそそのかした張本人、ということにしました。
本当はクロの復讐の相手はカウです。しかし、カウの目的はチャカ。切ない片思いです。でも、ウルをカウと同じように復讐の相手としてしまっては、レアをヨメにするあたりに不自然さが生じる。そこで、ウルをカウの息子ではないということにしました。ウルはカウの子ではなく、クロと同じように親に復讐を託された子供だった。ウルとレアを結びつけてしまえば、完全な意味でカウへの復讐を果たすことが出来る、という風にしたのです。

どうでもいいですが「ウルとカウ」を一発変換すると「売ると買う」ですね(笑)偶然ですよ?(笑)

そんな感じでリライトしていきました。
あたしはいつもキャラありきで話を作るので、話から作ったこの話はなんか勝手が違って大変でした(笑)日記にもちょろっと書いたんですが、キャラが動いてくれなくて困ったんですよ(苦笑)
クロはこんな血も涙もねぇ詐欺を仕組む冷血漢、かつ復讐に燃えてる男でなくてはならない。身分を偽って商会に潜り込んでいるので、いつ正体がばれるかわからない恐怖を抱えてピリピリしている→神経質であり、病的な潔癖症である。
ウルはチャカにあっさり篭絡され、なおかつ騙されたとわかってキレ、最終的にレアの言うことを聞いちゃうような、単純で人の情に弱い男でなければならない。愛されずに育ってやさぐれているが、だからこそ愛情には人一倍弱い甘ったれ。
レアはとにかく「害のない印象」を与えなくてはならない。お人よしで面倒見が良く、でもキレると怖い、なおかつ悪役として開き直っても様になる、この全ての条件を満たす便利なツールが「関西弁」だったんですね。上手い具合にシェリダン訛りとして設定していたので、チャカと見間違えるための外見を整えるのも容易でした。
というように、「話を構成するために」キャラを作ったので、キャラが動いてくれなかったんです。名前も本当にギリギリまで決まってなくて、キャラ設定のラフノートではずっと「従者」「ぼんくら」「女」のままでした(笑)
だから、セリフを喋らせてもずっと「言わされてる感」がぬぐえない。大丈夫なのかなあとは思ってたんです。

でも、やっぱりキャラに魂を吹き込んでいくのは、他のキャラクターやPCとの関わりだなあ、としみじみと感じました。
クロに魂を吹き込んでくれたのは、実は他でもないストライクさんです(笑)彼がクロに対して挑戦的なことを言ったので、かえってクロは「ウルを追い出して鍛え、ぼんくらでなくすなんてとんでもない!」というスタンスを明確にして、ストライクさんに対して言い返すことで己を固めていったのです。
ウルを形作ってくれたのは、彼にインタビューをしてくださったクルムさんでした。彼に事件の表面的なことだけでなく、内面にも切り込むような質問をしていって、なおかつ彼を気遣ってくださったので、キレやすく単純バカではあるけれども身内を大事にする、どこか憎めない彼の魅力を前面に出すことが出来たのかな、と。
それに対してレアはずっと、魂を吹き込まれないまま4話まできてしまいました。ヴィーダ途中での馬車でも、2話、3話の事情聴取でも、ずっと「言わされてる」感じがしてました。びっくりするほど空気なのはそのせいだと思います(笑)まあ、彼女は「何も知らずに利用された妹」でなくてはならないので、彼女の目的としては合致しているんでしょうけどね。
彼女が唐突に開眼したのは、事実を知ったウルがキレてわめき散らした時でした。いきなりビンタして喋りだした(笑)「この男を落として嫁の座に収まる」という目的以上に、彼女自身にこらえきれない思いがわいてきたようです。最初2人を喋らせたらケンカしだしたのでどうなることかと思いましたが、やはり収まるところに収まるべくして生まれてきたのだなあ、と不思議な感慨がわいてきました(笑)

名前は先ほども言いましたが、兄妹神でなおかつ聞きなれた響きであるラテン語圏かゲルマン語圏、に範囲を絞って探し、ギリシャ神話がヒットしたのでそこから広げていきました。ちょうどクロノスは父であるウラノスを倒して王に収まるという話だったので、篭絡されるぼんくらをウラノス、復讐のメインターゲットをウラノスと同一人物であるカエルスと名づけ、あとのキャラクターは全部他の神々の名前をもじりました。
メガテニストとしては聞き慣れた名前がいっぱいあったわけですが(笑)ヒューペリオンとヘリオスとか、ペル2の克哉さんを思い出してきゅんきゅんしちゃいました(笑)
王を倒して次の王に、ということを指して「名前からやりたいことがわかるかも」と言ったんですが、その辺り調べてみた方はお一人だけでしたね(笑)その方も、倒して次の王に、という話より「男根を切り落として」というショッキングな殺害方法に目が行ってしまったらしく(笑)気持ちはわかりますが(笑)ちなみにカウは種がないだけで普通にできますよ(笑)

ということで、初本格推理に挑戦して、結局殺人事件でなく詐欺事件であったので本格推理でも何でもありませんでしたというオチだったわけですが(笑)もうちょっと殺人に流れるフェイクをいっぱい出せば良かったなー(笑)
でもPLさまが積極的に動いてくださったおかげで、とても楽しいプレイングになったと思います。どうもありがとうございましたv