前々から、相川さんと「合作でシナリオやりたいですね」という話はしてたんですよね。
シナリオ同士がリンクしてるという軽いものでもいいし、がっつりと組んで共同解決、あるいは対立の構図というのも面白そう、とか。色々考えてたんですけれども。
では、合作でシナリオをやるとして、どういう内容のものにするか?という(笑)新しくキャラを作るのか、既存のキャラでやっていくのか。新しいキャラを作るのは色々と面倒……いえ(笑)始めはとりあえずあるものから話を膨らめていく方がいいのではないかということで(笑)
でも、あたしのNPCと相川さんのNPCの間に接点はございません。あえて言うなら、ミシェルとゼルさん、が同じマジックアイテム作る同士?でもさすがに天使と魔族で直接の面識はないだろうと(笑)そしたら相川さんが「ゼルさんはミシェルをライバル視していそう」という風に仰ってくださって。で、ミシェルはミシェルで、天界にいるときに危険指定で回収したアイテムとか見てそうだよね、と思って。直接の面識は無くても、お互いを認識はしてる状態、なんだろうなと。これを使って、何か面白いことが出来ないかと考えてたんですよ。

当初思っていたのは、対立の構図をそのままにPCにも対立していただくこと。例えば、ミシェルのアトリエをぶっ壊しに行くゼルさん側の冒険者との攻防、とか(笑)しかしこれはどうにも、無理がありましょうし(笑)
あとは、お互いにお互いの偵察、あるいはお互いが持っているアイテムなり材料なりを奪いにor譲ってもらいに行く。ゼルさんに雇われた冒険者がミシェルのところに、ミシェルに雇われた冒険者がゼルさんのところに行って、目的のものを入手するためにひと悶着、というパターン。これが完成のものに近いですね。

で、HNY2を執筆中に、相川さんとヨネさんのところに遊びに行く機会があって。
その時に、相川さんとこんな話をしてたんですよ、という話をヨネさんにもしたんですよ。
そしたら、ヨネさんもすごく興味を持ってくださって、じゃあどうせなら3人で何かやろうか、という話に(笑)
2人のGMの構図が3人になったので、さてどうやってシナリオを作っていこうか、と色々話し合いました。

まずはあたしがミシェル、相川さんがゼルさんというように、ヨネさんにもメインのNPCを立てていただこう、と。
ヨネさんはそれまでにいくつかシナリオをこなしてきていますが、ヨネさんといえばこのNPC!というと…やはり魔族のザカリア?になるのかなあ、と。でも、ザカリアさんは動かすのが大変(笑)なのだそうで(確かに(笑))
ここは、NPCとしても登場し、オルーカさんのPC側NPCとしても認知されていて、なおかつ普通に話が通じそうな(通じないのがどなたとは申しませんが(笑))ネイトさんを、ということになりました。ビバ熊カレー。

では、改めてこの3人を使って、どういう構図を作り上げるか、という話ですが。
色々話した気がするんですよね…他の2人の対立の構図に絡んでいく形にしようか、とか。しかしそれはさすがに、難しすぎて無理でした(笑)
で、シンプルに、三つ巴の形にしてはどうか、と。AからBに、BからCに、CからAに行くように依頼をかける。行った先のNPCとのやりとりがメインになるので、依頼をかけるNPCは自分の持ちキャラではない人になる。
それぞれの依頼に直接の関わりはないけれども、NPCのところに来てみると、自分の出した依頼についての案件で手一杯で簡単には望みのものをくれない、という構図になっているといい、と。
これが、構図としてもわかりやすいし、話を作りやすくていいのではないか、という結論になりました。

では誰が誰のところに行ってもらう依頼を出すのか、というところでは、やはり先程のゼルさん→ミシェルというのは外せないだろうと(笑)ということで、ミシェルがネイトさんに、ネイトさんがゼルさんに行く形になりました。
さらに、何故そこに行って、何を頼むのか、手に入れるのか。というところまで考えていこう、ということになりまして。
ゼルさんについては、ミシェルをライバル視しているので、単純に彼女に対して嫌がらせが出来ればいいのかなあ、と思ったんですよね。ということで、ミシェルのところに行って設計図を盗んでこい、という依頼を出す。
じゃあそのミシェルの設計図は、盗んでみても大して価値の無いものがいいよね、ということで、ミシェルの目的は新作の化粧品を作ること(笑)その為に必要なものを、ネイトさんのいる教会に取りに行ってほしい、という依頼を出す。
その当のネイトさんは、教会関連でどたばたしていて手が離せないけどゼルに頼みごとをしたいので代わりに行ってほしい、というものがいいと。じゃあ、魔具製作者としてのゼルさんより薬師としてのゼルさんに頼みごと、の方が自然だろうと。そこから、局地的に大流行してしまった病気を治すための薬を作りたい、病人の看護で手一杯なので代わりに行ってきてほしい、というのが教会っぽくて妥当だろうということになりました。

ここからは、各GMの腕の見せ所、となります(笑)詳細はどういう状況で、何を目的としたシナリオにするのか、各自考えて決め、知らせあって詳細を相談していこう、となりました。専用の掲示板も作り(笑)結構細かいところまで相談しあいましたよ(笑)
もちろん、シナリオが開始されて以降も、ストーリーの細かい部分や時系列など、細かく調整しあいながら進めていきました。特に、シナリオで他のGMのNPCを描写するということは誰もが初めてでしたから、慎重になりました。

しかし、始めてみて改めて感じたのが、「ミシェルの設計図を盗みに行かせる、という依頼を受けざるを得ない状況になってしまう」という入り口の狭さ、でした(苦笑)自分のPCを不利な状況に落とさないといけないんですよね。あるいは、PCが「別に盗みくらいいいよ」というキャラクターであるか。どちらにしても、あまりかっこいい状況ではありません。まず「ゼルの依頼を受けなければならない」という条件があるため、そこに至るまでのシチュエーションを、しかも自分のPCをおとしめる形で作らなくてはいけない、というのが、あたしが思った以上にかなりハードルが高かったようです。応募の総数が少なく、うち1名は固まりきらずに放棄、という形になってしまいました。

そんな前途多難な幕開けだったわけですが(笑)
話の運びとしては、「天の賢者」という少ない手がかりからミシェルを見つけ出す、のが1話。ミシェルのところに行って設計図を盗み出してくる、というのが2話、になる予定でした。
冒険者さんたちは、冒頭で盗みをさせられるという危機的状況に陥るわけですが、いざミシェルのところから盗み出してきてみれば、その設計図は化粧品のものでしたよ、ちゃんちゃん♪というオチになるという予定でいたわけですよ。あくまでギャグシナリオなのですし(笑)

しかし、高いハードルを潜り抜けて参加を決めたPLさまは、そんなぬるいシナリオを許してくれませんでした(笑)盗みなどしてやるものか、真っ向から交渉して設計図を得たうえで、ゼルを痛い目にあわせてやらなければ気が済まない、と(笑)しかも、PLさま全員がそう思っていたわけではなく、たったお一人のPCによって話がその方向を向いた、と言わざるをえません。このシナリオは、言葉が悪くて申し訳ないんですが、彼一人に振り回されたものだった、と思います。

たった1人のPCの行動によってシナリオの向きが変わってしまう、その現象は今までにも数多くありました。しかし、このシナリオはその現象が、あまり良くない方向に向かっていったのではないかと感じています。
前述の通り、GMが作った、「大体こういう風になっていけるといいな」という話の方向性みたいなものがあるわけじゃないですか。PLはそれに乗ることも出来るし、あえて乗らずに独自の方向性を打ち出すことも出来る。しかし、GMはGMで、話の方向性は最終的には、PCにとっての「救い」があるように話を作ってるはずなんですよ。よっぽど酷いGMでなければ(笑)ましてや、ギャグシナリオなのですし(笑)

彼が最初にその方向性を打ち出してきたとき、あたしは彼に「こういう面白さを打ち出して欲しくて出したクエストである」ということを伝えました。しかし、彼の返事は「それはわかっていて、あえて違う方向性を出している」というものでした。そう仰るのでしたら、GMに止めることはできません。
しかし、「GMの意図を無視して独自の方向性を打ち出す」ということは、「その結果がどんなものになっても、それは自分の責任」だということだと、あたしは思うんですよね。
PLはGMの意図を無視して好きなことをやってもいいけど、GMはPLの意図を汲み取らずにPCがダメージを受けるような展開にしてはならない、というのは、明らかにおかしいじゃないですか(笑)
もちろん、可・不可を判定し、お話を綴るのはGMです。GMが絶対的有利にならないように気を配らなければならない、それはそうでしょう。
でも、それは、PLがどんな無体なことをしてきても可にしろということとは訳が違う。無体なことをした結果、PCに無残なリアクションが返ってくることになるのなら事前に知らせるべき?いや、それはきりがないですよ。誰もがリスクを考えながら、するべきかどうか迷って決断しているはずです。そんな、リセットボタンを押してやり直すようなことが出来ること自体がおかしいですよ。みんな同じ条件でゲームをしているんですから。

あたしは今まで、PCが良い結果をもたらすような行動をしたら良い結果を返し、先のことを考えずに自分本位の行動をしたらそれ相応の結果を返してきました。悪い結果になったことで、サイトを去るPLさまもいらっしゃいました。けど、結果を自分の行為の因果として受け止め、次はこんな失敗をしないようにしようとより良いアクションを送ってきてくださったPLもそれ以上にいます。そしてその「成長」はPCにも現れ、PCをより魅力的にしていっているんです。
PCに悪い結果を返すことは間違いではない、それがあたしの考えだし、このやり方を譲るつもりはありません。
それが不満だと言うのなら、合わなかったと別のサイトを探して頂くしかない。
PCは保護されるべき、PCに不利な結果を返すのは間違っている、という考え方の方は、それはもう「参加者」ではなくて「お客様」なので、「お客様」でいられるように、ちゃんと対価を払ってゲームをなさるのが望ましいと思います。
トラアゲは、GMとPLは対等でありたい。互いに尊重しあって、一緒にすばらしいお話を作っていける場でありたいと思っています。
その為には、GMは「PLはGMのいうことに絶対服従すべき」という考え方を捨てるべきだし、PLは「GMはいついかなるときもPCをPLの思い通りに描くべき」という考え方を捨てなくてはならない。
難しいことですが、この考えは無くしていきたくないな、と思っています。

と、いうようなことを、色々と考えさせられたシナリオでした(笑)
くだんのPCに振り回されることになってしまった他のPCお2人は大変お気の毒に思います(苦笑)が、この経験を糧にしていただけたら嬉しいなあ、と。
今になって冷静に思い返すからこんなことが言えますが、当時はもうなんとも、酷い状況でした(笑)折り悪くあたしの勤めていた会社が倒産の憂き目に遭い、次の職も見つからず、精神的にかなり余裕のない状況でした。くだんのPCのPLさまもとても物言いに遠慮のない方で(笑)なんかこう、ボロボロでしたね(笑)おまけにこの頃、いわゆる「GENOウィルス」が爆発的に流行し、サイトが感染して移転騒ぎに(笑)ストレスで激太りしました、ただでさえデブなのに(笑)もう、よく発作的に閉鎖しなかったよと(笑)当時支えてくださった皆様、有難うございました(ホロリ)