2020年7月末、あと3ヶ月でこのレンタルサーバの契約期間なので延長する場合は手続きしてね、という通知が来ました。レンサバの契約は3年更新にしていたので、3年経って連絡がきたということですが。
まあそろそろ、決着をつけねばならんのだろうな、と思いました。今までズルズルと、何の更新もないまま、かといって閉鎖もせずに放置していたものを、きちんと終わらせなければならないと。このサイトを始めた当初に「きちんと終わらせる」と決めていましたしそれを宣言していましたので、物理的にできるのであればきちんと最後までやろうと思いました。
最後に1つシナリオをやって、それをもってこのサイトを終わりにしようと。

3年のブランクがあるのと、私のシナリオの参加者ばかりではないことを考えると、チャカが事件を起こしてそれを解決する、というつくりにするのは難しいのかな、と考え、また、せっかく作ったPCの設定を最後まできちんと披露して完結する場がいいだろうということもあり、フリーシナリオにしようと思いました。

そしておそらく、今からシナリオを用意して、参加者に連絡し、アクションを募集し、リアクションを書き上げ、読んでもらうということをした場合、3か月では足りないだろうなと思いましたw
レンタルサーバには私の個人サイトもあったため、そちらも移さなければならない。こちらは前々から、新しくアーカイブも含め作り直そうかなという構想はありましたので、トラアゲのアーカイブを自分のウェブサイトの中に内包する形で大きなアーカイブサイトを作成し、その中でラストシナリオを進行しようと考えました。
やることを決めると行動が早いタイプなので、即座に同じサービスで違う契約を申しこみ、使ったことのないワードプレスと格闘すること2週間wこのサイトのテンプレートと構成をだいたい決めて作ってから、ラストシナリオの構想にかかりました。

フリーシナリオなので、HNYみたいなお祭りがいいかなと思いました。そして、ラストシナリオなので、ラストであることを示唆できるお祭りがいいと。
そんなお祭りなかなか無いと思いますがw即座に思い付いたのが、平成天皇が退位され、令和天皇が即位されるあの式典。これまで天皇の即位とは、すなわち前の天皇がお亡くなりになることだったので、手放しで「おめでとうございます」と言いづらい雰囲気があった。けれど、平成天皇は亡くなることなく、そして元号が変わることで生じる混乱を最小限に調整したうえで、穏やかに退位し、次の天皇が即位した。日本中が新しい天皇の即位に歓喜し、国をあげてのお祭りになった。強く印象に残っていました。
あんな感じのお祭りにしよう。一つの時代が終わるけれど、それは決して悲しい終わりではなくて、次のステップへと踏み出すための明るい終わり。それこそが、TRY AGAINのラストシナリオにふさわしいと思いました。
ということで、退位→即位をそのままなぞらえた「継承祭」というお祭りを作りました。フェアルーフの国王は一回も出てきてないですが一応設定があって、「シュライクリヒ・エーデル・ド・フェアルーフ(シュライクリヒ14世)。30代後半の精悍な壮年男性。」ということになっているので、いや退位は早いだろとは思うんですがそこを押して退位していただくことになりましたw退位後は山奥に引きこもってスローライフとか冒険者になって第2の人生とかでも面白いなw

舞台を作ったら、次はその舞台のどこにだれを配置するかを考えます。
HNYや半月のいつメンwは特に悩むこともないんですが、NHY2以降のシナリオのキャラクターの配置に悩みました。あまりの多さに挫折しかけたwもう全員出さなくてもいいんじゃないかな?と思いましたwまあそういうわけにもいかず、全員出すまで頑張りましたw一人一人書いていくときりがないので、ある程度その辺がまとめられるような場所を作りましたね。魔術師ギルドメンバーズにメインステージとか、フカパフィとオード、ミシェル用にバザールとか。パレードを作ったのもまんま、ガイアデルト商会組を出したかったからです。そこに記者であるリタも絡めました。スポーツ雑誌の記者になりたかったのにね、ごめんねw

そしてラストにチャカを持ってきて、にいさまねえさまたちを名前だけ出してw最後に「これが最後のセレモニー。あの子たちが自分の生きざまにどう決着をつけるのか楽しみ」と言わせました。
この予告と共に、「何らかの終わり、決着をつける」ということを強く示唆しました。これまで伏線を貼っていた人は回収してくださいね。これが終わりだから、せっかく作ったキャラのすべてを大解放してくださいね、という感じで。

そして予告ページ公開後、旧サイトのトップページにサイトを閉鎖する旨の告知と予告ページへのリンクを設定し、そしてマジフェスの段階で登録状態となっていたPLさますべてにメールで通知をいたしました。
案の定、メールが繋がらない方も多数いらっしゃいましたがw3年もたってるしね!まあそれはそれで!という感じで。このラストシナリオそのものがもう、言ってしまえば自己満足の産物ですから…ぶっちゃけ、今もお付き合いのある相川さんヨネさんかりんさんしか参加は来ないだろうと思ってました。いやだって3年ですよ?ほかならぬ私自身がメール繋がらなくなってるしサイト自体たまにしか見に来てないのに、PLさんが何をか況やですわ。
しかし!私の予想に反して、ンリルカさん、ニクスさん、千秋さんがコンタクトを取ってくださいました!万歳!千秋さんなんてメール届いてないにもかかわらず、サイトを見に来たらお知らせがあったからと来てくださったとか!自分で言うのも何だが3年間更新が全くなかったサイトをよく見に来ましたね?!w

という嬉しいお知らせもあり、思いのほかたくさんのメンバーに参加いただけることになりました。いやあよかった。

で、いろいろアクションの相談等々に乗りつつ、10月29日にサイトが終わるのでその前にみんなでチャットしようぜ!と呼びかけてチャットしたりしてました。出張先からでしたがめっちゃ楽しかった…!
で、そのチャットの中で、ミルカを出すわけにはいかないしねえ、という話をしたところ、最後だからいいんじゃない?というお言葉をいただきwそれもそうだな、と思い直してミルカを大放出しましたw最終的にはミルカのリアクション(リアクションというかPA?)を書く想定で、ニクスさんやレティシアさん、オルーカさんと絡んでいきました。

HNYとかもそうなんですが、この形式のシナリオはまず時系列を整理するところから始めます。そして、最も多くの人にかかわりそうなPCを中心に構成していきます。
今回の場合はオルーカさんでした。オルーカさんのアクションだけ2日間にわたっていたということと、最も場所の行き来が多かったということで。
そのため、まずオルーカさんのアクションを時系列で並べ、そこに誰を重ねていくかを考えました。
オルーカさんは2日間でしたので、1日目と2日目でそれぞれ他PCと被る要素を並べていきます。1日目はハーフムーンで司祭様に異動の話を告げられるシーン、2日目はササさんの強盗傷害(違)事件を追うシーンとなるため、事件を追うミケさん、ンリルカさんを2日目、そうではないニクスさん、ミルカを1日目に据えます。レティシアさんは最後にミケさんと絡む必要があるので2日目です。千秋さんは誰とも絡まないのでそれとはまったく関係ない別日、ということにしました。あえて据えるとしても1日目か、まあ特に指定しなくても支障のない時間枠として描きました。今考えたらミルカにお祝いとか言わせたらよかったな…いやでもミルカは柘榴さん知らないしな…あれっ知らないよね…?wそうするとミケさんとかの方が適切だかしん。

話を元に戻して、1日目にオルーカさんがハーフムーンにいるなら、1日目のメンツをそこに集約してもいいよねということで、ニクスさんとミルカを絡ませました。ニクスさんはもともと誰かと絡むという想定は無く、あかりちゃんのためにバザールで金のアクセを選んで、パフィのところで占いをして、ハーフムーンであかりちゃんとの結婚式の夢を見る、というアクションでしたが、ミルカを出すと決めた時から、あかりちゃんの事件の時にニクスさんとご一緒していて、かつ、あかりちゃんと同じ魔道学校に通っているミルカを絡めんでどうする!とやる気満々でしたw
オルーカさんはミルカとカイと絡む必要があったので、ニクスさんのアクションのラストである悪夢の末の店内破壊wの後である必要があります。ではミルカとニクスさんの絡みはそれより前のタイミングがいい。というように時系列を決めていきます。

2日目はオルーカさんの捕り物がバザールで展開されるので、ミケさんとンリルカさんにはバザールにいてもらう必要がありました。
ンリルカさんのアクションにはクローネさんに対するアクションもあったので、クローネさんにもいてもらう必要がありましたwただ、ミケさんのアクションではミケさんはずっとグレシャムさんと行動を共にするとあったので、じゃあクローネさんにはノーラさんと別口でうろうろしてもらおう、それにミルカも絡ませてもらおうと思いました。クローネさんとミルカの掛け合い書くの面白かったw
そしてレティシアさんは学校でカイとミルカと絡むアクションだったので、じゃあミルカは2日目は学校でレティシアさんに会ってそれからバザールに来て、クローネさんとばったりあって一緒に回ってンリルカさんと絡む、っていう感じにしようと思いました。

オルーカさんのリアクションにはオルーカさんとガルダス僧院の方々はもちろん、ヨネさんのシナリオのNPCも最後のお祭り騒ぎのごとく全部出してくれましたwそして、シナリオ中では一切明かすことのなかった「司祭様=ザカリア」という内容も明かしています。GMである我々は知ってたんですが(たぶんコラボ作の時?)公にするのは初めてでは?コラボ三部作ではこのことを知らずに、司祭様に上から目線でお説教しに行って返り討ちに遭った人がいましたね…司祭様が魔族だって知ってたらお説教しに行こうとしましたか…?そういうとこだぞ…
で、司祭様がオルーカさんに異動の打診をした後、先にオルーカさんが帰り、マスターと魔族の会話ができればいいね、ということになり。ヨネさんからのオーダーは「どちらが強いとか弱いとかで上下関係を持たせたくない」でしたので、そのように描きました。まーGM同士のヒールの強さを争っても良いことないですしな。そもそもカーリィは強さとかあんま興味ないので、司祭様のことは割と同類だと思ってます。魔族なのに人間の文化にどっぷりハマって隠れヲタしてるあたりがwで、同じ夢魔なのでアルヴはザカリアさんのこと知ってるんだろうな、と思いましたので顔見知りの描写をしています。力関係で言えば、アルヴはカーリィより格段に弱いです。しかしこちらも悪食の変わり者なので、変わり者同士カーリィとは仲がいい、というところですかね。

オルーカさんの捕り物アクションでミケさんとンリルカさんも絡んできてますが、ンリルカさんがゼルさんを連れてきたのはンリルカさんのアクションだったと記憶していますwゼルさんとミシェルの絡みはこれもチャットでこういうことしてそう、みたいな話が上がってたんだと思いますが、千秋さんがそれをがっつりアクションに入れ込んで来てくださってちょっと面白かったwミシェルが柘榴さんを「葵ちゃん」って呼ぶの結構好きですw
ミシェルの化粧品ブランドに対抗してゼルさんが化粧品ブランドを立ち上げてそう、というのは確か相川さんのアイデアだったと思いますが、ゼルさんはなんか完全に対抗心からおかしな方向に来てますね…w
で、リアクションを書くにあたって、ミシェルとゼルさんの化粧品ブランドを完全に対立するように作り上げました。それが、自然派ナチュラルメイクを推奨する「スイートエンジェル」と、多少体に良くなくてもとにかく派手で美しいメイクを目指す「マジカルスティック」。マジカルスティックを愛用するのは昇天ペガサスMIX盛り(懐)とかしそうなギャルをイメージしてますw
正直に白状すると、この時点でわたくし「サロン・ド・ミシェル」の存在をすっかり忘れておりましたwニースのリアクションを移してきたあたりで思い出したwあんだけ盛り上がってネタにしたのにねサロン・ド・ミシェルwまあ、ミルカが愛用する化粧品ブランドにミシェルの名前があるとミルカの話にいろいろと支障があったので結果オーライなんですけど。

ミケさんは大筋の流れとしては、初登場となる長兄のグレシャムさんに、冒険者としての自分の成長ぶりと人脈の作りっぷりを見てもらうという感じで出来るだけ多くのPC・NPCに会いに来てくれました。途中でンリルカさんと一緒にオルーカさんの捕り物に参加する間はグレシャムさんと別行動となるので、グレシャムさんにンリルカさんのお店の売り子をしてもらってイケメンパワーで完売するあたりは完全にアドリブですw加えて、ンリルカさんのアクションではグレシャムさんのことは触れられていない(そらそうだ)ので、長男だから我慢できるあたりのくだりも全部私の脚色ですwちなみにこの時点で私は鬼滅の刃未履修ですw今は全部読みました!
そうして、一通りのPCとNPCにお別れの挨拶を済ませたミケさんを見てのグレシャムさんの感想が「しばらく見ないうちに立派な人たらしになって…」なのは完全に私の感想ですね…w リリミケもちゃんと終わらせたいという構想はあるんですよ…いつ形になるかは不明ですが…

そしてレティシアさんです。ミケさんとの恋の決着をつけるあたりはミケさんと連携を取っていたようですが、それとは別口でルキシュを出してほしいと打診がありました。ミケさんの恋の決着をつけると同時に、ルキシュの恋模様にも決着をつけたいと。
で、レティシアさんが「ミケに告白の決心がついた」と話を振るか、ルキシュが告白して「ごめんなさい」するかのどっちかで迷っているという相談を受けて、なにそれ萌える!と私の方からアイデアを出しました。レティシアさんから「ミケに告白しようと思う」と言ってもらって、それに対してルキシュが「望み薄そうなのにそれでも行くつもり?」みたいなこと言って、それでも行くと決意が固いレティシアさんに「ああそう、じゃあ僕も望みが無くても言うよ」みたいな流れで告白とかどうですかね?!みたいなw 結果的にはそれがかなり良いシーンとなったので大満足でございます。そのあとにルキレティの流れもできたしね!w

ンリルカさんはナイトメアでチラ見せしてくださったアリョーシャさんの話を、パフィの占いで公開してくださいました。パフィをことのほか気に入ってくださっていたようだったので、パフィに昔話をするという形での披露になりました。
占いの結果についてはお任せいただいた形になったので、パフィにはまず「あなたに占いは必要なの?」と問わせました。彼女にとって占いは、暗闇に惑う人を導く一筋の光であるべき、と考えているので、迷っていない人に占いは不要と考えています。パフィは当然普段のンリルカさんを知らないので、彼女の雰囲気がいつもと違うこと自体を知らないわけですが、また知らないからこそ、そしてこれを最後にヴィーダを去ってしまうからこそ、もう会うこともない人に誰にも言っていない打ち明け話をするというのも、普段のンリルカさんとのギャップが良い感じに描けるのだなあと思いました。すっきりとした良いラストでした。

ミルカのリアクションは、本リアクション発表の1月からだいぶ時間をおいて4月くらいから書き始めました。年度末は発狂するほど忙しくてな…w まずは皆さんのリアクションに出てくるミルカのシーンを時系列ごとに並べ直して組み立て、それから「フィズが帰ってくる」を軸に、彼女の人生の目標であるミシェルとフィズと再会するという話にしようかなと思いました。
みなさんとキャッキャウフフするところはもう、ミルカ視点で書き直すだけだったので特に問題はないんですが、惜しむらくはハーフムーンのお掃除に付き合わされた描写が、すでにオルーカさんのリアクションで「なんで私がやらなきゃいけないのー」みたいな描写をしてしまっていたので、それに合わせるのがちょっと大変でしたね。でもカーリィとの邂逅も描けたので良かった。満足です。
で、クローネさんと漫才して(テングザルでもダメそう)そのあとはミシェルのいるスイートエンジェルの売り場に行って偶然ばったり、というつもりでいたんですよ。ミシェルと会って、フィズと会って、幸せな時間を過ごせましたーで終了するつもりだったんですね。
ですがここでふっと、ミリーに連れて行かせたら面白いんじゃないか?というのが降ってきまして。でも作中で描写した通り、ミリーはミルカの恩人なら自分で探せよというタイプです。そういう甘やかし方はしない。じゃあ何か理由があったら?ミリーは個人的にミシェルをストーキングしていて、おそらくミルカの恩人がミシェルだということも把握している。そのミリーがミルカをミシェルのところに連れていく理由として考えられるとすれば、「ミルカの努力ではどうにもならないことを解決するため」だろうと考えました。じゃあそれは何かと考えた時に、すべてのパズルのピースがはまったように、あの形が浮かんできました。
当時のツイッターにも書きましたが、最初は本当に偶然ミシェルと再会して、フィズとラブラブデートして終わる予定でした。もっと言えば、ミシェルがミルカの力を封印していたという事実も用意していた設定ではありませんでした。ミリーがミルカを連れていくという発想から連鎖的に全部出てきたものです。なんかまるで最初から用意していた設定のようにぴったりとはまる感覚が、お話書いてるとたまにあって、こういう時にすごく面白いなーと思ってしまうんですよね。
で、そこから力を取り戻し、魔法が使えるようになって、でもそれで終わりじゃない、ということを示すためにリジーを出しました。最初はリジーも出すつもりではなかった…ミルカがフィズと対等になりたいという初心を思い出すためにリジーを出して、結果としてそれがかなり功を奏して理想的なラストを描けたと思います。4月から書き始めて公開したの8月になってしまいましたがw自分のだと後でいいやと思っちゃうんですよねw 自分のPCも最初に描いた以上の良いエンディングを描けて良かったなと思いました。

マジフェスのあとがきでも言いましたが、3年間放置していたことが正解だったかどうか、いまだによくわかりません。でも、このタイミングでなければ、令和になっていなかったから継承祭のアイデアも出てこなかっただろうし、3年経過してもまだ気にかけてくださっているという感動を味わうこともできなかった。このタイミングだからこそ描けた終わりがあったということを強く感じています。

もともとこのサイトは、闇獣をやっていた別のPBeMサイトが閉鎖してしまったため、続きを綴るために新たに立ち上げたサイトでした。
10万ヒットの時にPLさまから頂いたメッセージ集へのお礼のメッセージに、以下のようなことを書いています。そのまま引用します。

規模としてはここと同じくらい(たぶん)。形式もここと似たPBeMサイトが、突然の閉鎖をしてしまったのです。
閉鎖の仕方としては、あまりいいものではありませんでした。「管理人がキレたので消しました」と、ご本人自ら端的に理由を語り、ある日突然に、全てのデータが消去されていました。
そして、そのサイトで、あたしは「闇獣~Moonless Beast」をやっていました。

GMもやっているほど、そのサイトに深く関わっていたあたしにしてみたら、それは当然納得のいくものではありませんでした。同じく常連さんだった方々と別のチャットで集まり、いろいろ話し合っていました。
しかし、あたしはそこでトラブルを引き起こし、その方々はあたしと疎遠になっていきました。その方々の態度を見て、そこであたしは初めて、かのサイトの閉鎖の引き金を引いたのが自分であったのだと感じました。

実際に、かのサイトでどんな事実があり、管理人さんがどのような思いで閉鎖をしたのかは、あたしは知りません。
おそらく、あたし以外の常連さんは、知っていたのでしょう。知っていたからこそ、あたしに対してあのような態度をとったのだと思います。そしておそらく、思い切って踏み込んで、何が悪かったのか話してくれ、至らないところは直すから真実を聞かせてくれと言ったなら、教えてくれたことでしょう。きっと、あたしに真実を告げたかったに違いありません。あたしが同じ立場に立ったなら、きっとそう思いますから(笑)
でも、当時、ひどく傷ついていたあたしに、さらに『自分が悪い』ということを決定的にするようなことはできませんでした。

未だに、あたしはその真実を知りません。
でも、今になっても、やはりあたしは思うんです。

どうして、悪い事は悪いと言ってくれなかったんだろう。
どうして、爆発するまで溜め込んでいたんだろう。
爆発しか取る道はなかったのか。爆発のエネルギーを他に逸らすことはできなかったのか。

あたしには未だに、
『言葉に出さなければわからないことを、黙ったまま必死にわかってほしがっていた』
ようにしか思えません。

このサイトは、かのサイトが閉鎖した後に、何故閉鎖したのかを考え、そして二度と同じ過ちを繰り返さないためにどうしたらいいのかを考えていく、そんな目的をもって作られました。
もう一度、最初からやり直そう。もう二度と同じ過ちを繰り返さないために。

このサイトの名前「TRY AGAIN」には、そんな意味があります。

管理人の一存で運命が決まってしまうような、そんなサイトにはしたくない。
管理人本位でなく、参加者本位のサイトにしたい。
あたしはこのサイトの『所有者』ではなく、『管理人』なのです。
このサイトの主役は、他ならぬ参加者の皆様なのです。
そう思って作りました。

ですが、もうそろそろサイトを作って5年になりますが、最近は違うのかな、と思います。
管理人も、参加者の一人なんです。
管理人も含め、全ての参加者が尊重されるサイトが、理想なのではないかと。
参加者は参加してやってるんだから、管理人は参加させてやってるんだから、そういう思いで互いのことを思いやらない場所は、崩壊も早いです。我慢をさせられた方が、耐えきれなくなってしまいますから。
どちらかが我慢するのではない。どちらも互いを思いやり、相手の立場を慮って、主張することは主張し、退くところは退き、穏やかに、円滑に回っていく場所。安心して遊べる場所。
管理人が唯一しなければならないことは、その場所を維持することなのだと思うのです。

ですから、あたしはその場所を壊す恐れのあることに対して、常に厳しい態度を取ってきました。
それは、あたしがかのサイト閉鎖の一件で学んだことでした。
ひとは、言わなければわからないんです。
言わなければ、自分の行為がどんなことをもたらすかわからない。
それは、害をなされたほうが我慢をしていれば済む問題では、ないんです。
爆発の火種は、火種のうちに消さなければならないんです。我慢するよりももっと最悪な結末を迎えてしまうことになりますから。
だから、これからもこの場所を守っていきたいのなら、言わなければならない言葉があるし、しなくてはならないことがある。
それで、例えあたし自身が憎まれようとも、あたしのすることは間違っていないと、あたしは今でも思います。

そのことが、何故いけないのか。
その行為をされた人が、どう思っているのか。
きちんと伝え、考えてもらい、直してもらうか、出来ないのなら残念だけどここを去ってください、そう言いつづけてきました。
今現在、サイトはいい形で運営できていると思います。
あたしは、とても満足しています。
あたし自身が、安心してこのゲームで遊んでいます。

「想いの花束」お礼のメッセージ

まあつまり、悪い言い方をすれば、自分の居場所を突然叩き壊した管理人への当てつけとして作ったサイトです。
当然ながら未だに私は、あの方たちが何に傷ついていて、何に怒りを感じていて、せっかく作った自分の世界を無に帰したのかを知りません。
自分の行動を振り返るとダメージが来るので振り返りませんがwフェアではないので言っておくと、私は確かに、あの方たちに対して無神経な振る舞いをしていたと思います。あの方たちが憤るのも、何もかもが嫌になってしまったのも、理解はできませんが致し方ないことだったのだろうと。
5年を経てなお、私はあの方たちを糾弾する文章を書いていました。全く自分の中で消化しきれていません。あの方たちに出来なかったことをやることで、自分の正義を証明したい、という意図が透けて見えます。

今この文章を、このサイトを、そしておぼろげになったあの記憶を振り返って思うのは。
私がやり遂げたことは、確かに正義だっただろうと思います。私が受けた悲しみや悔しさ、それをすべて私の思う「正しい形」でやり直し、最後は少し尻切れであったとしても、確かに最後までやり遂げた。そしてそれに17年もの間、たくさんの人々がついてきてくれた。それは確かに、ある一定数に受け入れられた正義であり、私は誇ってもいいのだと思っています。

と同時に、多くの人に受け入れられる世界を作り、そしてそのうちの少数に心ない言葉を吐かれ、その世界を破壊しつくしたあの方々も、確かに正義だったのだと思います。ひとは、やったことにはそれ相応の報いを受けなければならない。その報いをどのような形で振り下ろすかは、振り下ろす側が決めて良いことなのだと。許してほしいとかそうでないとか、許すとか許さないとかではなく、一つの個としてのあの方たちを「認める」ことが出来た気がしています。

こうしてすべてを終わらせることが出来て、ようやく私は気持ちに区切りをつけられたという気分です。
その過程で、いろんな方々との関わりがありました。今もお付き合いがある方々も、そうではない方々も、とても仲良くなって、もう連絡すら取れない方も。今どうしているだろうか、元気で幸せにやっているといいと思います。

終わりを描きましたが、もちろんPCの人生も、そして私たちの人生も、まだまだこれから続いていきます。
そして、TRY AGAINは終わってしまっても、TRY AGAINで過ごした年月は、参加してくださった方々の中に、そして私の中に永遠に生き続けるのだろうと思います。
千秋さんのアクションで、セイカがショートカットになってしまったように。グレンさんのアクションで、リジーが誕生したように。ミケさんのアクションで、ミシェルとリーが親子としての兆しを見せたように。
誰もが、誰かに影響を与えて生きていて。その影響で、一人で生きていたのでは到底見ることのできなかった世界を見ることになる。
この世界でたくさんのキャラクターを作り、たくさんのお話を紡いできて、一番楽しかったのはそのことでした。一人では作り出せないお話を、皆さんと作り上げていきました。そのことが私の文章に、そして私自身に大きく影響して、そしてその影響を受けて、私はこれからの人生を歩んでいくのでしょう。

願わくば、皆さんにとっての私も、そのような存在でありますよう。
そして、TRY AGAINの世界が、皆様のこれからの人生の一部として残していっていただけることを、願ってやみません。

心から感謝しています。

2022年8月13日 霧河薙