このシナリオは…シナリオ以外にもいろいろなことを思い出させます…(笑)いろいろな思い出てんこ盛りです、主に痛々しい方向で(笑)
まあでもそんなことは横に置いといて(笑)

このシナリオでやりたかったことは、「PL情報とPC情報の明確な区別」です。
PL情報とPC情報が食い違ってくるシナリオというのはあると思います。他のPCは遭遇したけれども自分のPCは遭遇していない事件があるとか、あるいはPCは全く関わっていないイベントがシナリオの上で語られたとか、もしくはあたしのように、全然別の場所に個人的に話を展開させていて、そこからの情報があるという場合ですとか。
この場合、当然PL情報はPC情報に反映させてはいけません。PCが知るはずのない情報を元に推理組み立てられたりとか説教されたりとかされては困るわけです(笑)
それこそ、トラアゲを始めてまだ間もないころは、初めてシナリオに参加したPCが、敵の陣地の真っ只中にいるはずの、会ったことも話したこともない別PCに対して『お前は間違っている』という説教をかます、というアクションを堂々と送ってこられた方とかいて(笑)あたしのシナリオではなかったんですが。今考えると笑っちゃうんですが、当時はPLもGMもいろいろと手探りの状態で、PLはPLでどんなアクション送ったらいいかわかってないし、GMはGMでどのレベルまでのアクションをはじけばいいのか判ってなかったんですよね。

しかしそこはそれ、ゲームなわけですから(笑)PCが有利になるようなPL情報を持っていたら、どうにかしてそれをPC情報にしてしまえばPCが有利になるわけで。その情報を「PCが」得られるようにアクションを考えるとか、そういう方向に生かしてくれれば全く問題はないわけですよ。
例えば、さっきの例で言えば。会ったこともない別PCに説教をかますためには、まず自分のPCがそのPCに「会う」必要があります。しかもその別PCは敵陣地で指揮を取っている状態です。ですから、敵陣地のど真ん中にどうにかして潜入しなければなりません。しかも、いきなり唐突に潜入するのはあまりにも不自然ですから、自分のPCに敵陣地に潜入する「理由」がなくてはならない。そして当然、敵地に潜入する「手段」、場合によってはそのための「技能」が必要です。それがすべて揃った上で初めて「敵地に潜入する」というアクションが成功します。しかし、その時点では自分のPCは相手PCの人となりを知りません。会ったこともない人に、言われたこともない台詞、されたこともない行動に対してのお説教をする人は、どう考えてもちょっとおかしい人です(笑)ですからまず、自PCに対して、その相手PCが手ひどいことを言わなければならない。相談が必要になってきます。
いかがでしょうか。PCに「PLレベルでの思い通りの行動」をさせようと思ったら、これだけの準備が必要なんですよ(笑)人様にお説教をするというのは、簡単なことではないわけです(笑)
この、「理由」と「手段」。これがきちんとしていないと、読み手にはPCの行動が説得力のあるものとして映りません。当然、そんな行動にGMが「OK」と言うはずもないのです。

しかし、このPC情報とPL情報、往々にして混乱しがちなものです。チャットとかで会話してたらなおさらそうでしょう(笑)チャットでは親しく話してるのに、シナリオでは初対面ですなんていうことも良くあります。あるいは、ありがたくもあたしのサイトで個人的に展開している話を読んでくださっていて、シナリオをやる前にNPCの人となりを良く知ってくださっている。ありがたいことです。でもその前情報が、PCにあるはずのない先入観を植え付けてしまうこともあるわけです。
これをきっぱりはっきり、PLに区別していただくこと。そしてPLに区別していただくためには、GMもまたしっかりと区別できていないといけません。
このシナリオでは、そのために「PC情報」と「PL情報」が明らかに食い違っている、という状況を作りました。ターゲットNPCであるパフィは、ありがたいことにこちらのサイトでも皆さんに気に入っていただけている癒し系キャラです。トラアゲでも、キャラクター作成ページにサンプルキャラクターとしてその設定をすべて提示してあります。彼女が村を滅ぼされたということも、クリムゾンアイズの継承者であることも、全て書いてあるわけです。
そのパフィをして、「村を滅ぼした仇」と称するNPC、レヴィニア。PLレベルでは、明らかにおかしいことがすぐ判ります。しかし、PC自身は「依頼者」であるレヴィニアに、「村を滅ぼした憎い仇」であると説明されるわけです。そのPCとPLの認識の違いをどこまで把握し、どのように修正していくか。ここが、PLさまにあたしが提示した課題となりました。
PLさまの中には、こちらのサイトの作品を読んで下さっている方もいれば、サンプルキャラにパフィがいたことすら覚えていない方もいらっしゃいましたが(笑)皆さんおおむね、最初から「村が滅ぼされたという事実を公平に検証しよう」という姿勢を見せてくださり、PL情報をPC情報に近づける努力をしてくださったのではないでしょうか。まー、レヴィニアが度を越してヒステリックだったのも冷静になる要因のひとつでしょうけれども(笑)
そういう意味では、このシナリオでの「試み」は上手く行ったのではないかな、と、自分では思っております。PLさまもPCの心理描写を丁寧にアクションで提出してくださり、主線となる物語のほかにもPC同士のドラマが展開されたりして、とても良いものになったのではないかな、と。
まー、レヴィニアが実は黒幕でしたよ、という展開は、あたしのシナリオに参加された方々にはお馴染みというか(笑)むしろ千秋さんに髪読みされそうになってあっさり自爆するところとか、バトルに負けてあっさり改心するところとか、お馴染みの方には物足りないくらいだったんじゃないでしょうか(笑)
やーまー、彼女は魔族ではないので(笑)そして多分に感情的になる傾向があり、そのために論理的な思考を失するところがあるので……端的に言うと、ちょっとおつむの足りないヒスおばさんなので(笑)判りやすく自爆するし、判りやすく改心するわけですよ(笑)チャカとか4エレとかと同列にあげたら可哀想ですって、どちらも(笑)

さて。
このお話自体は、H&Hの前身のお話の中で考えていたことでした。パフィとクリムゾンアイズの設定とかもそのまんまです。フカヤは絡まってなかったかも。パフィの持っているクリムゾンアイズの力を狙って別の白竜族がちょっかいをかけてくる、とかそんな話にする予定だったんだと思います。
ははは、今も見ると笑ってしまうんですが(笑)この「別の白竜族」。設定当初は、男だったんです(笑)名前はレヴォリエル・メルス。愛称レヴォ。
何で女にしたのか良く覚えてませんが、単に女の子が好きだったのと(笑)話の展開として、パフィに対してものすごい嫉妬心を抱いていたという展開になるので、男性よりは女性の方がヒステリックさを表現しやすいと考えたんだと思います。
これに、フカヤの両親が白竜族に殺された、という設定を統合しまして。レヴィニアの設定自体はこのシナリオに際して作ったものですが、パフィの村をレッドドラゴンをそそのかして滅ぼした白竜族=フカヤの両親を殺した白竜族ということはH&Hで設定を作った当初から決めておりました。MMでそれっぽいことを言ってますしね。伏線の解消を別のところでやるなという話ですが(笑)

あとは……冒頭の「痛い思い出」になりますが(笑)
他でもない、「カーリィ」の登場です。
この「カーリィ」。今だから喋っちゃいますが、今はもうトラアゲにいない、別のGMさんと共同で作り出したキャラだったんです。
魔族同士で繋がりがあったらいいよね、カップルとかも作っちゃったりして、ということで、あたしが抱えている魔族の一族エスタルティ家と、そのGMさんの持ちキャラである魔族の一族の中に、オタカップルとして作り出しました。その、あたしの担当の方が、カーリィだったわけですね。
その名残が、1話の中にちょろっとだけあります。カーリィが「シヴァちゃんとこ遊びにいこっと♪」と言ってるんですが、この「シヴァ」というのが、もう一人のGMさんが担当した、カーリィのお相手役の名前だったのです。ちなみに、女性です(笑)
さらにちなみに、シヴァはヒンドゥー教の破壊神、カーリーはその妻であるパールヴァティの別の姿です(笑)

まあ結局、「今はもういない」といっている通り、シヴァという女性魔族はトラアゲで日の目を見ることのないまま、そのGMさんは辞められてしまいました。カーリィが「ツンデレは食傷気味」と言っていたのは、まさしくそのシヴァちゃんが典型的ツンデレだったんです(笑)
1話で出した時点では、カーリィは最後まで引っ張るつもりはなく(笑)くだんのGMさんがご自分のシナリオでやったように、通りすがりのゲストとしてお遊び要素で出したつもりでした。
しかし、2話でその方が辞めるのがかなり決定的になり、じゃあせっかくだから、と最後までチャカの代理として活躍させることになったのです。だから、カーリィの精神を入れ替える術というのはこの話のためにつけた技能です(笑)
そして、PLさまのご助力もあって、オタクとしても大活躍をし(笑)ついには自分で喫茶店まで持って、単独シナリオをやるようになりました(笑)カーリィ作ってよかったなーと、今はしみじみ思ってますよ(笑)今はカーリィはフリーです、3次元に恋人はいませんよー(笑)
なんつって、ある日突然シヴァっていう名前の魔族が出てきたりしてな(笑)

痛い思い出というか、カーリィ自身が痛いわけではなく(笑)このシナリオを読み返すと、どうしても当時の苦い思いがよみがえってきてしまうのです(苦笑)傍からも判りやすく壊れてたんで…(笑)他にもいろいろありましたが…それでもやっぱり、あたしはその方がトラアゲに来て良かったと、トラアゲを作ってよかったと、今でも思ってます。
その方の今が、心安らかな、幸せなものであるといいな、と。
綺麗事ですが、このシナリオで出した結論通り、憎しみや悲しみというものは、相手を滅ぼすことでなく、自分を変えることで解消していくしかないのですから。