「イオタ」
「ニュー。どうしましたか?」
呼び止められて振り向くと、困った顔のメイド頭がそこにいた。
「陛下が、なかなかお目覚めになりませんの」
「またですか…」
つられて、こちらも少し困った顔になる。
「申し訳ございませんけれど、起こして下さいますかしら?モーニングティーはご用意いたしておりますから」
「わかりました。では貴女は朝食の準備を」
「畏まりました」

「陛下。おはようございます」
仲良く並んで寝ている二人の少女。
少々大きな声の呼びかけでも、全く目覚める気配はない。
「陛下。お紅茶が入っておりますよ」
彼女たちのお気に入りの紅茶の香りも、その眠りから覚ますことは出来ないようで。
イオタは小さく息をついた。
そして、そっと彼女たちの寝台に近づくと、うち一人の耳元に唇を近づける。

「……おはよう、シータ」

ぱち。
彼が優しくそう囁くと、それを合図にしたかのように少女の目が開いた。
寝起きで彷徨う視線が彼を捉え、にこりと無邪気な微笑を浮かべる。
イオタはそれに微笑みかけると、背を正して寝台を離れた。
「お紅茶が入っておりますよ、陛下」

「朝っぱらから…熱すぎてやってられませんわ…」
その隣でふてくされるエータがいたとか。

狸寝入り?(笑)いやいや、シータに限ってそんなことは(笑)
「陛下」と「シータ」を使い分けるイオタに萌えなのですよ(笑)