ああ、神様。罪深い僕をお許しください。

彼は一生懸命十字架に向かってお祈りをしました。
こう見えても、彼は敬虔なクリスチャンなのです。

でも僕は、寂しくて寂しくて我慢ができないんです。
彼がいないのがこんなに寂しいなんて、本当に僕にも思いもよらなかったんです。

彼のただならぬ様子を見て、悪いこととは知りながら、脱走を手伝いもしました。
でもあの時、カッコなんかつけずに本当の気持ちを言えばよかった。
すがりついてでも、行かないで、と一言言えばよかった、
そうしたら、こんなにも寂しい気持ちにはならなかったのに。

でも、そんなことを言っても始まりません。
…だから。

彼は、すっくと立ち上がりました。
その目には決意が秘められていました。
一週間分の宿題もやっておきました。
ガウス先輩には置き手紙を残そうかとも思いましたが…だめです。すぐに見つかって連れ戻されてしまったら意味がありません。

ごめんなさい、ガウス先輩。でも本当に、目的を達成したらすぐに戻りますから。
僕はもう、本当に耐えられないんです。
彼が隣にいないことが、こんなにも心もとないものだなんて、本当に思いもよらなかったから。

彼はもう一度、お祈りをした十字架を見上げました。

ああ、神様。だから、僕は行くんです。

ジェフに会いに。

トニーがジェフに初めて会ったのは、小学校3年生のときでした。ジェフはトニーの学校に転校してきたのです。
トニーの学校は、小学校から大学までエスカレーター式の学校で、しかもウインタースの山奥にあるのですから、転校生なんていうのは本当に珍しく、したがって、そばかす顔に眼鏡という地味な風体の少年はあっという間に小学部中のうわさになりました。
そして彼は、二人部屋を人数の関係で一人で使っていたトニーの部屋に入ることになったのです。
最初、彼はとても無口で無表情で、人を寄せ付けない冷たさがありました。
トニーは割と社交的な男の子でしたから、ちょっと近寄りがたく、あまり口もききませんでした。

そうこうしているうちに、ちょっとした事件が起こりました。
ジェフが転校してきてから初めての定期テストで、学年で不動の1位を誇っていたエディをぬいて、ジェフが1位を取ったのです。
これにはトニーも驚きました。
しかしジェフは、みんなが好き勝手なことを口々に言いながら釘付けになって見ている順位表には目もくれず、一人で自分の席に座って本を読んでいました。
いけ好かないやつと思うより先に、彼の寂しそうな横顔が気になりました。
そして、心に焼き付いて離れませんでした。

そのうちトニーは知りました。
ジェフがクリスマス休暇に入っても家から迎えに来てくれるパパやママがいないこと。クリスマスカードを送ってくれる人がいないこと。
せっかく学年トップになっても、ジェフにはそれを喜んでくれる人がいないのです。
トニーは急に悲しくなってしまいました。
ジェフがあんなに無口で無表情なのも、新しい学校に来ても一人も友達を作らないのも、もうこれ以上少しも傷つきたくなかったからだったのです。
ジェフの寂しそうな横顔がよみがえりました。
このままではいけない、と思いました。

トニーは一生懸命、ジェフと仲良くなろうとしました。
話しかけたり、あれこれと世話を焼いたりしました。
割と几帳面なトニーに対して、ジェフは身の回りのものにあまり気を配らない性格で、勉強や発明に夢中になると食事をするのも眠るのも忘れてしまうことがありました。偏食気味で、体の調子もあまりよくないようでした。
トニーはそんなジェフに、きちんと食事を勧め、あまり夜更かしをするようなら無理にでもベッドに入れました。
はじめはうっとうしがっていたジェフですが、そのうちしぶしぶトニーの言うことに従うようになりました。
トニーの話に応えてくれるようになりました。

ぽつり、ぽつり。ジェフは時々自分のことを話しました。
ジェフのパパは、この学校ではあまりにも有名なあのアンドーナッツ博士。でも研究者としては第一人者だった博士も、パパとしては失格だったようでした。ジェフはパパの顔を写真でしか覚えていません。それもそのはずです、ママの話では、パパはジェフが2歳のときから家に帰っていないのですから。
研究にばかり没頭するパパに愛想を尽かしてママは出て行ってしまいました。それでもパパは、ジェフの家に帰ってくることはありませんでした。一人で不便なら、自分の行っていた学校に行くといい、と言って、勝手に入学手続きを済ませ、ジェフには学校までの地図だけ送ってきたそうです。
トニーはその話を聞いて、アンドーナッツ博士ってなんてひどい人なんだろう!って思いました。
だってそうでしょう?もしトニーのパパがそんな人だったら許せません。ママに絶対リコンしてって言っちゃいます。ほら、現にジェフのママだって、でていっちゃったじゃないですか。
でも、そう言ったらジェフは複雑そうに微笑みました。僕も研究に没頭したら周りが見えなくなるから、あまり博士のことばかりはいえないかもしれないな…って。でも、博士のことはとても尊敬してるし、嫌いじゃないけど…パパとはどうしても呼べないな。ジェフはそんな風に言っていました。

次の年のクリスマスには、トニーはひそかにためたお金で、ジェフにとっておきのプレゼントをしました。
ジェフはとっても喜んでくれました。
ジェフと一緒に寮に残りたかったのですが、ジェフはトニーに言いました。きみにはちゃんと家族がいるんだから、帰るべきところに帰らなくてはいけない。僕たちはいつでも会えるんだし、その気持ちだけで嬉しいから。ご両親を寂しがらせるようなことはしてはいけない、って。
トニーはジェフの優しさに、強さに、感動しました。一生の親友でいたいと思いました。

それから、ジェフとトニーはずっと親友でした。
自分は、ジェフにとってなくてはならない存在だという自信がありました。

ところがどうでしょう。
ジェフがいなくてはどうしようもないのは、トニーのほうだったのです。

ジェフが何か大きな使命を背負って旅立ってから、まだ一月もたっていないのに。こんなにジェフが恋しいなんて。
この間学校の宿題でジェフに電話をかけたら、ネスという名の見知らぬ少年が出ました。すぐにジェフに代わってくれましたが、ジェフの話によると、ネス、ポーラ、プーという名前の仲間たちと一緒に旅をしているそうです。

ジェフは笑っていました。
てっきりトニーと一緒で寂しい思いをしていると思ったのに。
ジェフは新しい仲間と、新しい冒険をして、ちっとも寂しくなんかなかったのです。
電話の向こうには、自分の知らないジェフがいました。
トニーには、それが悲しくて寂しくて、たまらなかったのです。

ジェフは自分ひとりのものじゃない。自分の知らないジェフがいても当たり前。頭ではわかっているのですが、わかっているからといって寂しさが消えるはずもありません。
そしてトニーは、寂しいのなら会いに行けばいい、という、彼にしてはひどく前向きな結論に至った訳なのです。

そして、話は冒頭に戻るのですが…

「ううっ、寒いなぁ…」
トニーは小声で言って、コートの襟を寄せました。
ウインタースは一年中が冬みたいなものです。
寮の中はとても暖かいのですが、外に出ると凍りつくくらい寒いのです。
あったかいシチューでも飲みたいなあ…などと思っていると、本当にシチューのにおいがしてきました。
「おかしいな、もう寒さで幻覚が…」
しかし、シチューのにおいは歩くごとに近くなってきます。あたたかで、おいしそうなにおいです。もしこれが幻覚だとしたら、相当よくできています。
トニーはシチューのにおいに誘われるように歩きました。
するとどうでしょう。そこにはキャンプ用のテントがいくつもいくつも並んでいるではありませんか。シチューのにおいは、そのひとつから出ていたのです。
「ここは…」
さらによく見渡すと、そこはウインタースの観光名所のひとつ、タス湖でした。伝説の恐竜タッシーがいると噂されている湖です。ということはこのテントの群れは、タッシーウォッチング隊の皆さんのものなのでしょうか。
「すみませーん」
トニーはシチューのにおいのするテントに首を突っ込みました。
中にいたのは人のよさそうなおじさんです。おじさんはニカッと笑って言いました。
「どうしたボウズ、一人でこんなところまでお散歩か?まあいい。寒かったろう。シチューでも飲めや」
おじさんは何も聞かずに、というか一方的に喋りまくって、キャンプ用の食器にシチューをなみなみとついで渡してくれました。
トニーはお礼を言って受け取り、一口すすりました。
あったかくて、とてもおいしいシチューでした。
「俺たちはここでタッシーが現れるのを待ってるのさ」
「で、現れたんですか?」
トニーは冗談半分で訊いてみました。タッシーなんて伝説に過ぎないと思っていたからです。
ところが、おじさんはまたにかっと笑って、内緒話をするように小声で言ったのです。
「ここだけの話だがな…いたんだよ!現れたんだ!タッシーが!」
「ええーっ?!……むぐ」
大声を出しそうになってあわてて口をふさがれました。
「はっひーは、ほんほひひはんでふは?(タッシーが本当にいたんですか?)」
「大きな声出すなよ。本当さ。一ヶ月近く前のことだ。強い風が吹く日でな。やっぱりお前みたいなボウズを泊めた次の朝だった。湖面がざわざわと波立ち始めたと思ったら、その小僧にひっついていたサルが急に騒ぎ出して、小僧からチューインガムひったくってな、こう、ぷーっと膨らませて、宙に浮いたんだよ。ふわふわとな。湖のちょうど波立ってるところに落ちるかと思ったその時だ。ザーッと水音を立ててタッシーが現れて、そのサルを頭の上に乗せたんだよ。それから、その小僧は誘われるようにタッシーの背中に乗った。そして、タッシーは小僧とサルを乗せて、向こう岸へと行ったって訳だ」
「ちょっと待って!その小僧って、僕と同じような服着てて、そばかす顔で眼鏡かけてませんでした?」
「おお、確かそんなやつだったぜ。夜なべしながらエアガン治して、やたらと器用なやつだったな。なんだ、知り合いか?」
ジェフだ!間違いない!
トニーは一瞬喜びかけましたが、すぐにあることに気づいて愕然としました。
タッシーに乗っていった…?
そういえばジェフは、ポーラという少女はPSIという不思議な力を持っていて、遠いイーグルランドからジェフにコンタクトを取れたのもその力のおかげだといっていました。
ということは、今まで決して人前に姿を現さなかったタッシーが現れてのも、ポーラからのテレパシーを受け取って、ジェフを向こう岸に渡すため、なのでしょうか?
だとしたら、トニーはこれ以上ジェフの足取りをたどることは、どうがんばっても無理です。
だって、トニーはジェフたちの仲間じゃありません。タッシーに向こう岸に連れて行ってもらうなんて、できっこないんです。
トニーはがっくりと首を落としました。
「なんでえ、何か嫌なことでもあったのかい?」
おじさんは精一杯の優しさをこめて、トニーにシチューのおかわりをついでくれました。
「…ジェフはもう…僕のことなんかどうでもいいのかな…」
力なくつぶやいたトニーに。おじさんは訝しげな視線を送ります。
「ジェフってのは、あのボウズの名前か?なんだ、友達なのか?」
「親友…だと思ってました。少なくとも、僕のほうは。
でもジェフは…僕をおいて冒険に行ってしまった…新しい友達もできたみたいです。もうジェフには僕なんて、必要ないのかもしれない…」
「あのボウズが、お前にそう言ったのか?」
「ううん、そうじゃないけど…」
「なら、何も心配することねえじゃねえか」
おじさんがそういっても、トニーは浮かない顔です。
おじさんはしばらく黙って、そしておもむろに言いました。
「なあ、お前さん、ゲームはやるか?コンピューターゲームってやつだ」
「え…?ええと、すこしだけ…」
「ゲームってなぁ、おもしれえな。ドラゴンクエスチョだの、ファイニャルファンタジーだのってのがもてはやされてるが、やっぱり俺ぁマジャーだね。ありゃあ最高のRPGだ。…だがまあ、そんなこたどうでもいい」
おじさんはウインクして、続けました。
「あのボウズ、何かえれえ深刻な顔してたぜ。地球の未来を丸ごと背負ってるみたいなマジな面だ。タッシーも現れたし、何か俺の知らねえところでどえらいことが起こってるのかもしれねえな。それこそ、そのゲームみたいな『世界の命運をかけた戦い』ってやつだ。あのボウズは、その仲間なんだろう。ありゃあ主人公ってツラじゃねえからな」
おじさんはがはははっ、と笑いました。
「さしずめ俺は、主人公の仲間に一晩の宿を与えた親切な村人、お前はそうだな…主人公の仲間を引き止める彼女みたいなもんか?わはは、ちょっと違うか」
どういうたとえでしょう。トニーは眉をしかめます。
「だがな、これだけは忘れちゃなんねえ。いいか、よく聞けよ。
誰かの代わりになる誰かなんて、この世にゃ存在しねーんだよ。
冒険に参加してないサブキャラも。情報をくれるだけのただの村人でも、それはその人じゃないとつとまんねえ。その人がいなきゃ、話はなりたたねえんだ」
トニーはごくりとつばを飲み込みました。
「新しい仲間がいくら楽しいやつらでも、絶対にお前の代わりにはなりえねえんだよ。そりゃあ冒険してくうえで、いくらか心の支えにはなるだろうよ。だが、もっと心の深ぁーいところにかかわる『支え』には、たった1ヶ月やそこらの友達にはなれねえんだ。わかるか?」
おじさんの言葉が、頭の中でリフレインします。
おじさんは大きな手でトニーの頭をなでました。
「長いこと離れてりゃ、そりゃいろんなことも考えるわな。だが人間のキズナっつーもんは、お前が思ってるほどもろかねーもんだ。人生経験豊富なオトナが言うこたぁ間違いねえ。ま、お前が知ってるあいつを信じてやるこったな」
トニーの目から、みるみるうちに涙があふれてきました。
「ありがとうございます!僕…ジェフにあんまり会ってないから、少し変になってたのかもしれない。もう大丈夫です。僕、学校に戻ります!」
と、トニーが立ち上がろうとした、そのときでした。

どんがらがっちゃーん!!

大きな音がして、トニーは頭に鈍い衝撃を受けました。叫ぶ間もなく、意識が遠くなっていきます。
意識が完全に途切れる前に、トニーは妙に機械めいた声を聞きました。
「標本ハコノクライデイイダロウ。早クストーンサークルノ基地ヘ運ベ」

海に頭を突っ込まれたような激しい息苦しさを感じてトニーは目を覚ましました。周りの景色はゆがんでいてよくわかりません。水の中にいることは確かなようです。その景色もだんだん薄れてきました。目がかすんできたのです。
ああ…このまま僕は死ぬんだろうか。トニーは思いました。
せめて死ぬ前にもう一度ジェフに会いたかった。
苦しい…助けて。ジェフはどこ?ジェフに会いたい…

「早く!それを壊して!それがこの基地全体のマザーコンピューターになっているんだ!」

気のせいだろうか…ジェフの声がする。

「それを壊せば、あのカプセルの機能が停止する!早くあの中から出してあげないと…トニーが…トニーが死んでしまう!」

ジェフの声だ…幻覚なのかな?
神様が、死ぬ前にせめて声くらい聞かせてあげようって思ったのかな…

がしゃん!ばりん!さばさばさば…

遠くのほうで何か音がします。誰かが自分を抱き上げてくれているような感触がします。もうろくに感覚が残っていないので、よくわかりませんが…

「トニー!大丈夫?!しっかりして!」

やはり、遠くでジェフの声がします。

「ジェフ、大丈夫よ。今サイコヒーリングをかけてあげる」

トーンの高い、女の子の声。

「まったく、宇宙人のやつら!ひでえことしやがるぜ!」

語調の荒い、少年の声。

「俺も手伝おう。ポーラ」

静かな、落ち着いた少年の声。

それからすぐに、暖かい感触がトニーを包みました。苦しさが和らぎます。失った感覚が徐々によみがえってきます。
そっと目を開けると、心配そうなジェフの顔がありました。
ずっとずっと会いたかった、親友の顔。
トニーはおそるおそる、彼の名を呼びました。
「ジェフ……」
「トニー!ああ、よかった!もう手遅れかと思ったよ!」
「何が…あったの?…僕、どうして…ここは…どこ…?」
「ストーンサークルの地下、宇宙人たちの基地さ。きみは危うくやつらの標本にされるところだったんだよ。アップルキッドの様子がおかしいからウィンタースまで来てみれば、きみまで行方不明だっていうじゃないか。あちこち聞きまわってみたけど、タス湖からぷっつりと消息が途絶えたから、これはクサイと思ったんだ。案の定宇宙人に捕まってた。
でも、きみが助かって本当によかった…」
ジェフは、心底ほっとした様子でため息をつきました。
ふと彼の後ろを見ると、かわいらしい金髪巻き毛の女の子が、白衣を着たおじいさんに手をかざしていました。あのおじいさんは…知っています。トニーの学校で彼の顔を知らない人なんていやしません。
天才科学者…アンドーナッツ博士。ジェフの…パパです。
ジェフは、パパよりも先に、真っ先に自分のところへ駆けつけてくれたんです。
トニーの視線を感じてか、女の子はふわりと彼に微笑みかけました。
「いつも冷静なジェフの、あの取り乱しようったらなかったわ。私たちを助け出すときだってあんなに必死にはならなかったでしょう?トニー君は、ジェフの大切なお友達なのね」
女の子の言葉に、ジェフは何も言わずにそっぽを向きました。照れ隠しをするときの、彼のクセです。
「ジェフ……」
トニーは涙があふれるのを抑え切れませんでした。
「う……うっ…うわぁぁぁぁんっ!」
トニーは夢中になって、ジェフの胸に顔をうずめて泣き出しました。
「と、トニー?」
ジェフはびっくりした様子で、それでもトニーにされるがままになっています。
「ジェフーっ!ばか、ばかばかばかーっ!!」
せっかく助けたのにバカ呼ばわりされてしまっては、ジェフも立つ瀬がありません。
でも、ああ。本当に。なんてバカだったんだろう。トニーは本当に、自分が恥ずかしくてたまりませんでした。
ジェフの友情を、一瞬でも疑うなんて。
ジェフは、遠く離れていても自分のことを気にかけてくれていた。
必死になって探してくれた。
自分を捕まえたやつらをかっこよくやっつけて(このあたりは想像でしかないですが、きっとかっこいいに決まってます!)、助け出してくれた。
血の繋がったパパよりも先に、自分を気遣ってくれた。
ジェフも、トニーと同じように、彼のことを思ってくれていたんです。
『人間のキズナっつーもんは、お前が思ってるほどもろかねーもんだ』
(本当ですね…おじさん!)
見れば、そのおじさんも向こうのほうで、不思議な髪型をした少年に助け起こされていました(きっと一緒に宇宙人に捕まってしまったのでしょう)。
後でおじさんの目がさめたら、お礼を言わなくちゃ。トニーは思いました。
トニーはやっと、おじさんの言っていたことが本当にわかったのです。
ずっと離れていても、消えないキズナがある。
そしてそれは、何物にも代えがたい、宝物なのです。
それを持っているトニーは、もっていない人の何倍も、何十倍も、幸せなのです。
そしてトニーは、その幸せを分かち合える友人が、誇らしくてたまらないのでした。

ですから、後で改めて自己紹介をしたときに、ちょっとイヤミっぽくなってしまったのは、しかたがないことですよね?

「ネスくん?僕、ジェフの大昔からの親友の、トニーです」

“Tony’s great adventure” 1996.3.25.Nagi Kirikawa 2003.7.14.revised

大昔に出した(1996年って…(笑))マザー2本に掲載した小説です。
えーとえーと、多分「ホモっぽくないトニー小説」がコンセプトだったんだと思います(笑)ストーンサークルで助け出したときに彼の謎のセリフに理由をつけるとしたら…かっこ健全な(笑)こんな感じかなあと。ゆうても、もう7年前のものなんで、文がものすごい…(笑)でも当時から、久美沙織版を意識して書いていたようです。細かいところに修正をかけましたが、割と手は入れずにリメイクしました。最初はジェフの設定は「お母さんは出て行って、でもお父さんがあまりにも面倒見なかったから寄宿舎に」っていうことだったんですが、今回ゲームをやり直してアンドーナッツ博士が「10年ぶり」とか言っていたので、まずいかなと(笑)でまあ、苦し紛れにこんな感じで。ネスたちの年齢がいろいろと迷ったんですが、最初に行ったサイトで12歳になっていたので12歳にしました(笑)いいですよねえ、12歳(何が)ロマンです。
トニーは、ゲーム上ではあからさまに「おねえさん狙い」だったので(笑)あえてちょっとマザー2風に、健全な感じで行ってみました(笑)いかがでしたでしょうかv
その後のことは知ったことじゃないです(笑)