「天使の怖れ」同様、大昔に作ったスクウェアブランドのヴォーカルアレンジ集「DEARS」のリメイクでございます。
「天使の怖れ」は一番最初に作ったやつに収録されておりましたが、こちらの曲は一番最後に作った「DEARS4」に収録されており、かなり評判の良かった曲でした。

元のアレンジは、詞も別の方が作っていて、ピアノ伴奏+波の音(海を題材にした詞だったのでw)にデュオの構成という曲でした。
で、今回リアレンジするにあたり、まず詞を作り直しました。元の詞を作った方と現在連絡が取れず、許可無くネットの海に放流するのはさすがにためらわれたので;
せっかくですので元作品「LIVE A LIVE」の、この曲が使われている「中世編」の主人公・オルステッドをイメージした詞を書いてみました。これについては後で語るとしてw
で、ピアノオンリーだった伴奏を、ピアノベースのアレンジに作り変え、デュオをソロ+3部コーラスの構成に。前奏・間奏に入っているピアノのアルペジオ自体はかなり気に入っていたので、それを生かす形で、ピチカートとベースを付け加えていきました。2番から転調するのも元アレンジ通りですが、比較的静かなアレンジだった1番に比べて、2番はストリングスとピアノのアルペジオを足して派手な感じになってます。ストリングスは原曲ではホルンで入っている飾りを取り入れたんですが、あれいいですよねえ、下村節って感じw

原曲は多分ロ短調か変ロ短調なんですが、それだと音域が合わないので、元アレンジではニ短調にしました。で、さらに今回ぐんと音域を上げてト短調にしてます。高い方が歌いやすいんですw
で、それにあたって、コードとメロディーをもう一度ちゃんと確認しようと原曲を聞きました。

………

元アレンジ、メロディーもコードも違ってたw

え、あれー?w 百歩譲ってコードは編曲の都合があるとしても、なんで私こんなメロディーにしてしまってたんだろうw すごい違うw
DEARS4を持ってる方はもはや私のお友達しかいないと思いますが、なんかすいませんw 原曲をリスペクトした別の何かだと思ってくださいw

気を取り直して。原曲では、このアレンジで言う「胸に空いた 暗い隙間」から後ろは1オクターブ上なんですよね。でもそれを歌でやると、どの音域に移調してもヘンに聞こえるので、思い切って1オクターブ下げました。
あとは誤解していたコード進行を原曲バージョンに直しw編曲完了。さあ歌うぞという段になったのですが。
いえ、歌自体に問題は無かったんですけどw歌を録る段になってから、編曲に失敗したなあと思ったのが、転調後の2番の出だしでした。2小節ほど、パーカッションが入らない状態から盛り上がって歌いだす形になってるんですが。
正直、自分のリズム感の無さを甘く見ていたと言うかw
これぐらいの間なら出だしカウント無しで歌えると思ったんだよーw
まー、合わない合わないwすごい勢いで録り直しましたw
この教訓はいつかどこかで生かしたいと思いますw

で、絵なんですが。
この「LIVE A LIVE」、知る人ぞ知るスクウェアの神ゲーです。小学館の人気漫画家7名が、7つの世界それぞれのキャラクターデザインをしたというもの。
つまり、7つの世界の主人公全員、絵柄はもちろん、時代も雰囲気も世界観も何もかもが違うんですw
これをどうして纏めたもんかなーと悩んだんですがw
この7人の主人公は、最終的に7人全員がひとつの世界に呼び出され、そこでラスボスを倒すことになります。この曲の詞が、その呼び出される世界「最終編」の白い森をイメージして作ったので、色あせた森に雪が降っていてそこに主人公達が佇むという感じにすればいいかなと思いました。
で、7人と書きましたが、7つの世界のひとつ「功夫編」では主人公が3人いて、最終的に生き残った一人が最終編の世界に呼び出されることになるんで、呼び出される可能性のある主人公は全部で9人。私はレイちゃんが好きなんですが、だからといってレイちゃんしか出さないのも他のキャラのファンに申し訳ないかなと思ったので、全員出しました。
フリー素材から拾ってきた森の背景に雪を書き足し、デフォルメしたキャラクターを描いていきました。構図の関係でそんなに大きく描けなかったのと、曲の雰囲気に合わせて、皆さん俯きかげんで目が見えないように描きました。キューブ以外w キューブって実際のところ大きさはどんなもんなんだろうw 描いてみたらすごいでかくなってしまったのでこれでも縮めたんですがw
で、別レイヤーで降っている雪を2ショット描いて、これを交互に動かすことで雪が降ってる感が出せればいいかなーと。こんなもんですかねw
間奏のところは、最初は雪が降っている空だけのショットにしようかと思ったんですが、友人にストーリーを語りながらふと思い立って、中世編のセリフをパッパッと表示しました。オルステッドがあらゆるものに裏切られて魔王になっていく過程をダイジェストでお届けいたしておりますw 「あなたを信じます」と言ったのと「あなたに負け続けるものの苦しみはわからない」と言った女が同一人物だと思うと殺意が沸きますねw アリシアはスクウェア三大悪女に数えられるほどのダメ物件ですが、当時は素で「ちょっと何言ってるかわかりません」と思ったものでしたw
バックで歌っているコーラスは、「Snow of hate falls and falls down in this gray forest. Please tell me why I am in this endless hate.」と言ってます。

この詞はオルステッドの私なりの解釈です。
オルステッドは、「愚かな人間のために命を懸けるということがいかにくだらないことであるか証明する」ために、7つの世界の主人公を自分の世界に呼び寄せた、と言いますが、心のどこかでは、人間に絶望してしまった自分を滅ぼして欲しい、そのことで人間はまだ信じられるのだと証明して欲しい、という思いがあったんじゃないかなと思うんです。
オルステッド自身、大切に思っていた人に裏切られて、自分の心から湧き上がってくる憎しみを持て余していた、自分の感情を自分でコントロールできずに苦しんでいたのではないかと。だから、自分が憎しみを抱くのは人間が愚かだからだと必死になって証明しようとした。でも逆に、異世界から「勇者」を7人も呼び寄せるほどに、そこまで必死になって証明したかったのは、彼自身がどこかでそれが間違いだと思っていたからなんじゃないのかなあと。
結局、オルステッドの言うように、本当に人間が救うに値しない愚かな存在だとしたら、彼が何もしなくたって人間は滅んでいくはずなんですよね。でもそうじゃないのが認められない、認めてしまったら自分が不幸だと認めることになる。だから、みんな一緒なんだ、自分は可哀想なんかじゃないんだって声高に言わないと耐えられなかった、それは誰にでもある無理のない心理だと思います。
最終編をオルステッド主人公でクリアすると「SAD END」と表示されますが、結局そうしてオルステッドの持論を「証明」したところで、残るのは寂しさだけなんですよね。
オルステッドを本当に救うのは、彼を肯定したり、彼の望みをかなえることではない。彼が憎しみで塗りつぶしてしまった、心の奥底にある人を信じる思いを、彼をその憎しみごと倒すことで解放すること。そうすることでしか救えないということが哀れと言うか、切なくはありますが、彼はどこかでそれを望んでいたのではないかと思うのです。そんな思いをこめて詞を書きました。

LIVE A LIVEの曲は大好きで、マイナーであるにもかかわらずDEARSでも結構歌いましたw 功夫編の「鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳」、原始編の「Kiss of Jealousy」をやったかな。いい曲ですよねー。メインテーマも好きだし、中世編のフィールドの曲も好きでした。本当はもっとやりたかったんだけど自重w
ライブ好きな方に聞いてもらえるといいなーと思います。