12万ヒット御礼イラストです。
経緯としては、「何の服がいいですかね」と相川さんにお訊きしたところ、 「民族衣装とかv」と言われ、「民族衣装にも色々ありますよね、なにがいいかな」 と乱さんに言ったら、「じゃあシャハールの衣装を着せましょうか?」 と言ってくださり、二人で合作と相成りましたv
自分の絵に人が色をつけるというのは何とも新鮮な感じがいたしますねv 水彩のような塗りがとてもきれーいですv
そして、自分で描いといてアレですが、上半身裸を 髪で微妙に隠す感じが何ともエロいですね(笑) まあ見えたところで大したものじゃ……

そして乱さんと合作第2弾です。
リーの絵の打ち合わせをした時に 「じゃあまたネタでなんかやりますか」と持ちかけたところ 「前々からチャカの服を着て若い子ぶったウナイ様と キルの服を着たネザを描いてみたかった」と仰ったので ではとりかえっこしましょうか、と(笑)
いやー、清々しいほどキルが似合いませんね!!(笑)
線画の時点ではチャカとウナイさまの区別がつかなかったほど 両者ものすごくハマっておりました(笑)
「お姉さまとお呼びペア」ですか?(笑) 嫌そうな息子と甥も素敵です(笑)
いやー、久しぶりに楽しく色を塗らせていただきました、 乱さんどうもありがとうございましたーv

そしてさらに乱さんが素敵なSSを書いてくださったので便乗して掲載します(笑)
非常に楽しそうなお姉さまズと哀愁漂う弟ズのコラボレーションをお楽しみ下さい(笑)

天使だとか魔族だとかここはどこだとかそんな事は気にすんな

 ここはスペース4丁目の三軒隣にある「ブティックさえぐさ」の店内。色とりどりの服に囲まれて眼をきらめかせ物色していた二人が、はたと手を止めて言い出したことで本日の悪夢は始まった。
 主役はチャカとラァラィ(ウナイ)の「お姉さまとお呼び」ペア。被害者はキルとネザの二人である。
「あら、その服ステキvたまにはキモノもいいわよねぇ…v」
「リュウアン風の服も最近着てないわねぇ…じゃあ服取り替えてみましょうか」
「背丈が微妙だけど…きっとアタシに似合うわよねvうふふ、楽しみだわ…」
「大丈夫よ、キモノの丈はいくらでも調整出来るもの」
「アタシの服は、ボディラインに沿ったデザインだけどー…同じくらいだし入るわよねぇv」
「まぁ、大丈夫よー。我は見かけほどないからー」
「キャハハハ、やだーもー」
 のっけから盛り上がりをみせる女性二人に対し、どん引きの男性陣。二人の後ろに控え、「また何か言い出したよこの人は…」という視線で見守っている。それでもこちらに火の粉が降りかからないなら好きにさせるつもりだったが、そうはいかないようだった。急に後ろを振り向いたラァラィが言う。
「ついでだからアンタも着替えなさい、ほらそこの子から服借りて」
「えっ、僕も!?サイズが明らかに違いますけど…」
「んじゃキルくんはこっちのコの服ねv洋装って珍しいわねぇ~v」
「本気ですか…?」
 げんなりとしながらお互いを見、同時に肩を落とすキルとネザ。ここで逆らっても相手が引かない事は百も承知だった。
「本気に決まってるでしょう。遊びは真面目にやるものよvさっ、女の子はこっちで着替えましょうvv」
「あっ、叔母様…」

 チャカとラァラィが仲良く女性用更衣室に入って行くのを見送り、残された二人の間に重い沈黙が圧し掛かる。さっさと帰ってしまおうか、いや後々面倒な事になる。頭の中で錯綜する考えを先に口に出したのはキルだった。
「………どうしましょうか」
「……着替えてないと、怒るだろうなぁ…」
「…お互い辛い立場ですね……仕方がない。背丈が少し気になりますが…」
「大丈夫、きっと袖のボタンを押すとプシューってサイズ調整されるとかそんな感じで着られるから」
「ほう、現世界にもナ○ック星の文化が伝わっているとは知りませんでした」
 下らない冗談で気を紛らわしながら「男性用更衣室」と表示された部屋に入る。カーテンの向こうは二人入っても十分な広さがあった。大きな鏡とカゴが二つ、最近ではハンガーや靴べらは当たり前。この前はティッシュや椅子まである店があった、さすがブランドは違う。
 キルとネザの身長差は約20cm。当然体格も違う。「着替えようか」と言ったものの心配していた服のサイズは、更衣室のカゴに服が用意されていたことで解決した。誰がいつの間に?などという疑問は口に出すだけ無駄だとわかっている二人は黙々と服を手に取る。
「…あ、着方は判りますか?少々複雑なのですが…」
「そういえばリュウアンの服は着るの初めてだ。どれから着るんだろう…これ、は上着だよね……?」
 キルと同じデザインの服を広げ首を傾げるネザ。上着と靴と帽子はわかるが、他のパーツが二つしかない。
「判らないのでしたら着せて差し上げますよ」
「じゃあお願いしようかな」
「では失礼して」
 楽な方法を選んだネザにキルの手が伸びる。喉もとのボタンを一つ、外されたところでネザは焦って体を引いた。背中が壁に当たるのも構わず逃げて叫ぶ。
「自分で脱ぐから!脱がさなくていいよ!」
「そうなのですか?失礼いたしました」
 キルがあげていた手をおろしかけた時だった。急にカーテンが開けられ、チャカが中を覗き込む。
「キルくんアタシの髪飾……あら、お邪魔だった?」
 壁際に追い詰められているネザと、あげた手をおろしかけているキル。チャカでなくとも誤解してくださいと言うような構図である。
「邪魔じゃないですけど何急に開けてるんですか!脱いでたらどうするんですか!」
「喜ぶわv」
 さらりとチャカに言い返されネザは言葉に詰まった。言い返せないでいるネザを他所に、チャカは笑い声を残して去っていってしまう。何をしにきたのだろう。
「覗きに来ただけですか…」
「うう…何を報告されたのか怖い…」

 キルの指示どおりにネザが着替え終わり、帽子と単眼鏡をつけて鏡に映った自分を見ていた。
「へぇーこうなるんだ。帽子なんて久しぶりだなぁ…昔は色々被ってたのにどんどん簡略化され(以下略)」
「何か複雑な事情がおありなのですね。ところで、このタイはどうやって結ぶのですか?」
 柔らかく細長い布を手にとり、首に引っ掛けてキルが問う。確かネザは胸の位置でちょうちょ結びをしていたという記憶を辿り、試しに結んでみたら不恰好なリボンが出来てしまった。
「自分で結ぶの慣れてないなら、結んであげるよー。ちょっと失礼」
「すみません」
「ネージュー、着替え終わった…あら、仲がよろしいことで」
 ネザが手を伸ばしてキルの喉元でリボンを結んだ時だった。先程と同じタイミングでカーテンが開けられ、ラァラィが顔を覗かせる。当然ネザはギョッとして振り返り怒鳴った。
「ラァラ様まで急に開けないで下さい!」
「ちっ、もう着替え終わってたのね…で、どっちが攻め?」
「………とりあえず私が攻めです」
「まぁー、ネージュったら年下に組み敷かれるの?母さん萌えるけどちょっと悲しいわー」
「冗談に決まってるでしょう、出ていってください!!」
 更衣室から無理矢理押し出され、ラァラィもまた笑いながら帰っていった。同じテンションで同じ行動をする二人を相手に、疲れの見えるネザを見上げてキルが言う。
「……冗談なのですか?」
「冗談にして下さい」
「私は男性でもまったく構いませんが」
「いや、僕は構うから。それにほら、君は彼女がいるんだろ?」
 言われた台詞にちょっと考え込み、キルは心の中で笑いながら次の言葉を口にした。
「………三人で楽しみますか?」
「んな!?何でそういう展開に持っていくのさ!」
「失礼。貴方の様子が面白くてつい」
 案の定、赤くなってうろたえるネザの反応に、口を笑みの形に歪める。キルに笑われたネザは疲労感に襲われて、ふらりと床に手をついた。
「…あ、遊ばれた…4分の1の歳の子に…」
「年下攻めは良いものですよ兄者」
「OK、弟者。それは他所でやってくれ…」
 涙で滲む視界を閉じ、壁に寄り掛かって悲嘆に暮れては、しばらくガリガリと爪で壁を引っ掻いていた。

 時間がある程度過ぎたところで、ブティック「さえぐさ」の店内はショウ仕様に変わる。スポットライトで照らされる一角を前に、着替え終わった男性陣はだるそうに立っていた。もうこの店内がどの程度の広さなのか想像つかない。
「さて、気を取り直して第一回衣装交換披露会をしたいと思います。司会は僕、この服の袖は物が持ちにくい、ネザです。こちらは審査員のキル君。よろしく御願いします」
「よろしくお願いします。手で物を持つという習慣がないものですから、お手数おかけします。ところで審査とは何をやればいいのでしょうか」
「これから出てくるお姉さん達を誉めて批評して下さい」
「…それは批評とは言わないのではありませんか?」
「というか僕達に褒める以外の選択肢は用意されてないと思うんだ」
「それにはまったく同意いたしますが」
 観客の居ないステージでテンションの低い司会と審査員が己が苦労を分かち合っていると、突然照明がくるくると回り出した。どこかからかファンファーレが鳴り響き、ぱかっと開いた天井からゴンドラにハコ乗りした二人が降りてくる。もしかして今の若者には『ハコ乗り』なんて言っても通じないのだろうか。物悲しい。
「…新郎新婦のご入場ですか?」
「第一声がそれ?演出にケチつけてないで誉めなさいな、さぁ!」
 手を広げて賞賛を待つポーズに、とりあえず全身を見てみる。二人とも身長もスタイルも雰囲気も似ているせいか、服と中身に違和感がなかった。多少ラァラィの方が歳をくっているせいで、腹だし腕だしスタイルがギリギリのような気がするが。
「お二人ともそっくりですね。ラァラ様の方がやや老け いえ何でもありません」
「まったく違和感がないですね…叔母様心なしか乳が垂れ いえ 色っぽいです」
「我もまだまだ肌を出してもイケるわよねぇ、そう思わない?」
「ええ…本当にその通りだと思います」
 ノリノリで髪をかきあげ一回転してみせるラァラィに、ネザは機械的に首を上下させた。
「たまにはこういうエキゾチックなのもいいわよねぇv意外に似合ってるでしょぉ?」
「全くもってそのとおりですね」
 ウキウキと裾を翻すチャカに、キルもまた脳は停止したまま口だけを動かした。
「キルくん、棒読みくさくない?」
「気のせいですよ叔母様」
「お姉さま」
「気のせいですお姉様」
 いつも着ている服との違いを楽しんだところで、急に二人の前に仁王立ち、にやりと人の悪い笑みを浮かべる。ギクリと冷や汗を浮かべたネザとキルだが、逃げる体力も誤魔化す気力も失われていた。綺麗に口紅の引かれた唇が開いて選択を迫る。
「でぇ、アタシとウナイさま、どっちがキ・レ・イ?」
 どっちを選んでも未来は地獄だ。
「二人とも綺麗ですよ、どっちかなんてとても選べませんって。ねぇキル君」
「そうですねまったくそのとおりですびにゆうれつをつけるなどというのはぐこうですよネザさん」
「ちょっと、アンタたち選ぶ気ないでしょう」
「そんな事ないですよ。選ばないのと選べないのは違いますって」
「ええそうですせんたくしなどもともとないものにえらぶというこういはせいりつしません」
「キル君さっきから目が遠い所見てなぁい?」
「きのせいですおねえさま」
 無理難題をふっかけられた平社員がごまをすって逃げるように、チャカとラァラィの気を満足させようとする二人。しかし二人が困るのを知って選択を迫る二人が見逃してくれるはずもなく。とにかく良い方を指させと強要された。
 ここで二人がどちらか1人を指差そう物なら、もう1人から粘着質な苛めを受けること間違いなしである。かといってそれぞれ自分のお姉さまを指差しても、二人は満足しないだろう。そんな事を考えつつ、ネザはチャカをキルはラァラィを指差した。
 しばし冷ややかな空気が間に流れた後。
「…ふぅん、そうなんだ。色っぽいもんねぇ」
「そうねぇ、綺麗だものねぇ」
 お互いにお互いの目の前では『何で私を選ばないのよ』などとは言えず、『上手く逃げたな』という視線で睨むしかない。
「もういいでしょうチャカ様、帰りませんか」
「そうですよラァラ様も、帰りましょうよ」
「仕方ないわね。だいぶ時間も経ったし、遅くなると欠食童子がうるさいものね」

 元の服に着替えてブティック「さえぐさ」を後にする。別れはあっさりしたもので、4人は別々の方向へと帰っていった。にこにこと笑顔で別れ、それから口を閉じるラァラィとチャカが異様なプレッシャーを発している。うっかり余計なことを口にしようものならねちねちとイヤミを言われそうだと感じ、ネザとキルはひたすら黙っていた。と、無表情でぽつりと呟かれる。
「どうして我を選ばなかったのよ、ネージュも若い子が好きなのねー薄情者ー」
「キルくんって結構30代からが女の狂い咲き主義だったのねー、ロッテちゃんに言っちゃおっとv」
 ぐ、と言い返したい言葉を飲み込み耐える。
「しかも遊んでるような胸の大きい子が好きなのねー。グレイくんに報告しなきゃー」
「しかも子持ちで若いツバメがいるような有閑マダムがいいんだー。いいのよー、ワタシは理解があるからー」
「グレイくんきっとショックよねー、アンタまで遊んでるように見られちゃうかもー。あ、実際遊んでたわねぇ」
「でもロッテちゃんはどうかしらー、時間は無情よねぇ。どんなに早く大人になりたいと思っても後1000年はかかるものー」
 ちくちくちくちく。
 ここで言い返したら負けだと心の中で拳を握る。
 この人の言うことなんかきっと本気にしないはず。そう信じて家に着くまでの長い時間を耐えきる二人だった。

  *END*