自慢できるものは自然だけ…な、片田舎の小さな村。
 小さな村の小さな酒場で、ロッテは暇を持て余しまくっていた。

「周辺なんか、もー全部見て周っちゃったよー。
 リー、はやく戻ってこないかなぁ…まさか、これも放置プレイの一環とか!?」

 ナンだ、ぷれいって。
 とか突っ込む人も誰もいない訳で…
 旅の途中で、ちょっとした冒険の依頼を受けた2人が仕事を終えたのが、2日前。
 一つ前の街までリーと一緒に戻れば良かったんだけれど、その街を出るときに耳にした言葉が、なんだか気になって。

『この先の村って、風光明媚って言うの? 随分良いトコらしいですねー』
『なんも無いのが取り得ってのも、変な話だけどねぇ。山間の温泉に、風車、後は小さな学校…
 あぁ、学校と言えば。面白い話を知ってます?』

 曰く。
 夜にしか現れる事が無いという、光の柱。
 その学校の敷地に眠る、宝物の話。
 宝を守る守護者、ガーディアンの話。    

 世界の彼方此方に転がっている、ありきたりな話。
 大抵は旅人を呼び寄せる為の作り話でしかない、色々と形を変えこそすれど、どこの街にもある様な種類の話題だったのだけれど。
 その時、なんとなく思い出してしまって。

 街を出て5日目に終えた依頼。
 報告に戻るなら、5日戻らないと行けない。
 先に1日進めば、噂に聞いた村が有って…

『宝を見つけて待ってるね♪』
 そんな台詞と共に、リーと一時別れたのだけれど―― 
 半日で飽きてしまった。 

 村に居るのは、爺様婆様ばかり。
 件の学校は、既に学校として使われていない事を知る。
 広大な学校の敷地も、随分前に更地となっていて…その場迄行った瞬間、宝探しをする気は失せてしまった。

「あーあ。ホントに失敗したなぁ…あの時から、調子悪かったのかー」
 ロッテの体質。
 好不調の波が、他所様と比べると多少激しいと…そう言ってしまえば簡単なのだけれど。

 ハズレの時だから、ハズレの話題を選んで引いてしまった様です(説明文)


「今更戻ってリーと合流するのも、なんだかなー…」
 酒場のカウンターに突っ伏して、足をぷらんぷらんさせながら。
 ロッテにしては珍しく、自身の行動を決めかねて居ると――

「やっぱ問題はこの先だって。
 兄弟って事で通用しねー事も無いだろうがなぁ…どーしたもんかな?」

 そんな声と共に開く店の扉。
 その声は、何処かで聞いた覚えがあって…

「ゼータ?」
 カウンタに頭を乗っけたままの姿勢で、シケた店に入って来たシケた人物――ゼータに声を掛ける。

「って、うお? ロッテー!? 何してんだお前、んなトコで!!?」
 ロッテの姿を見るや否や、なんだかバタバタしているゼータ。

「あぁ…成る程、な」
 ゼータの背後から、そんな声と。頭一つ分高い影が現れて。

「あ。キミも一緒だったんだ?」
 むくり、身体を起こして。楽しげに…妖しげに笑うロッテ。

「成り行きでな。――何時ぞやは、世話になったな?」
 こちらも、なんだか楽しそうな。誰かと聞かれれば答えよう!
 灰色の長髪に、黒い外套。剣を背負って―――っていうか、アッシュなんですが(笑)

「成る程、って?」
「この村に入った時、妙な感覚がして、な。
 ヤバイ気はしなかったが…面倒な事に巻き込まれそうな、とでも言うのか。
 どう言う事かと思って居たんだが。アンタの姿を見て納得したと、まぁそ言う『成る程』かな?」

「お互い、なんだか楽しげな雰囲気で語り合っちゃったり!?
 て言うか、俺の立場ってなんだか悪くねー!?
 救済企画じゃなかったのか、こらー!!」
 すまんゼータ。無理かも知れん(笑)






「んで、2人はなんでこんなトコに? …愛の逃避行中?」
 カウンタから、1つしかないテーブルに移り。
 2人をきょろきょろーっと眺めるロッテ。
 良いタイクツ凌ぎを見つけたと。その目がそう言ってます。

「なんでやねん!(びし) 俺の愛は、ロッテに向いてるんだがなぁ?」
「ほう?」
 へー、そんな事言うようになったか? てなアッシュの目。
 ていうか、救済救済!
 ここで妙な展開になっても、どーかと思うし!!(笑)

「―――。
 そう言えば、借りたままだったな。
 この程度の話で、それを返せるとも思わないが…アンタの良い暇つぶし位には、なるかも知れん。
 手を貸して貰えるか?」

「話の内容にもよるけど?」
 かくん、小首かしげ。

「この先、馬車で半日山に入った処に町がある。
 田舎に有りがちな閉鎖的な町で、外部の人間を受け入れる事は余り無いんだが…
 元住人だった人間の息子が、両親が育った田舎へと嫁を連れて戻ってくる事は珍しい事でも無いだろう。

 最初は、俺が恋人で――とも思ったんだがな」

「兄弟って話じゃなかったのかコラ!」

「――田舎じゃ、受け入れられ難い設定だねぇ。なんで拘るのか、ボクには解んないけど♪ 
 …んで?」

「その町の何処かに、『ヴィシュヌの黄金像』が有る。
 これは、確かな情報だ。
 町の中に入るのは簡単だが、余所者が動き回ると警戒されるからな。
 なんとか、内から動ける様な手を考えて居たんだが…」

 そんな時、過去の住人だという人間に会う。
 写真に写ったその姿。
 町の中で笑うその人は、ゼータに良く似ていて――

「あぁ、それで。ボクとゼータが、夫婦としてその町に入るって訳?
 ふーん…

 面倒に巻き込まれる、って感じたんじゃなかったっけー?」

「話を受けて貰えるなら、ローズにとってはソレでも幸せだろうさ…なぁ?」
「ローズ言うなってのに」


「くっそー…アッシュのヤツ、思いっきり殴りやがったな…」

 町外れの、小さな一軒屋。
 ちらり覗いてみれば、大きく腫れた左頬に貼った、デカイ絆創膏を擦りながら。
 ベッドに身を投げ出したままのゼータが愚痴っていて。

「あは。良いパンチだったねぇ」
 扉の向こうに居るゼータに、楽しげに声を掛けてみる。





 なんだかんだでタイクツしていたロッテは、結局アッシュからの話を受ける事にした。
 像の在り処、その目星は既に何箇所かに絞られているらしい事。
 2日間は、町を上げて歓迎の宴を開いて貰える事。
 その他、像の由来やその扱われ方―――諸々の事を考えても、断る理由は特に見つからなかったから。

「ボクと出会わなかったら、ゼータ達どうするつもりだったのさ?」

「いや、俺が受けた話じゃ無ぇからなぁ…どーするって言われるとな。
 何とかしただろ多分!、…としか言えん訳だが~…」
「ふぅん…?」

 ゼータと別れて行動する。そう言った時の、アッシュの事を思い出す。

 ―― 俺は、別行動させて貰おう                       ――
 ―― 新たな門出を迎える2人の間に邪魔者が居ると言うのも、可笑しな話だから ――
 ―― あぁ、そうだ―――流石に、頬の痕は不味いか              ――
    新婚早々、嫁に叩かれたと―――町に入れば、そう言って置くんだな?   ――

 見た目だけは最高に優しそうな笑みを浮かべたと思ったら、ゼータの頬に綺麗に拳が吸い込まれて。

「ゼータの事は、宜しく頼むぜ。奥さん?」
 目を回したままのゼータには目もくれず。
 ボクに向かって向けた、あの表情は―――

(あの村で嫁役を選ぶ、ってのは無理があるよねぇ。
 ふぅん? ふぅん…?

 全部が全部、アッシュ君が仕組んだ事とは思わないけれど。
 油断出来ない相手ではあるかなぁ。嫌なタイプじゃ無いけど…リーは、あの手合いは嫌いだろうなー)

 村には、町に入る時に必要な家財道具が一式馬車に積まれていて。
 聞けば既に、町の方へも連絡が行っているらしい。

「ここまであからさまだと、隠すツモリは無いって事だよね……まぁ、退屈してたし。ボクは良いけどさ♪」
 町に入る時迄着ていた、白いドレスを脱ぎながら呟く。

 町に入って早々、町民からの歓待を受け。
 日暮れ迄、酒場で一騒ぎして居たのだけれど――

「うぉ。随分若い奥さんだのぅ! ホーエンハイムとこの息子は、随分やり手じゃなー!」
「爺さん、それ位にしておきなよ? 新婚早々に潰しちゃったら2人が可哀想じゃないか」
「そーそー。野暮は無しにしないと♪」

 そんなこんなで、漸く解放されたのがホンの先刻――

「ゼータ、これからどーすんのー?」
 そんな事を聞きながら、扉を開けて。

「流石に今夜動くのは無し――ってぇぇぇー!?」





 町に入るとき、馬車の隣には白いドレスを来たロッテが座っちょりました。
 褐色の肌に、白いドレスがそりゃーもー映えて…その場で何度押し倒おそーかとか!
 アオカンはイカンよな、天下の往来で…
 役に入りきってるのか、時々慎ましやかに微笑んだりなんかしてもー…生きてて良かったー!!
 空の青さが大好きだぞ、俺!!!!

 町に入ると、ホーエンハイムの坊として随分可愛がられましたっ!
 当時の事や、町の家族関係なんかは予め確認済みだったし。
 当事者が出戻るって訳でも無いから、問題になる事も、まぁある訳無いんだが。

 明日も、今日と似た感じだろうが…ある程度は町ん中動けるだろう。
 アタリを付けた場所を、それとなく探って置いて…んー。

 そんな事を考えていたらロッテから声が掛かって。

「お、おままま!」
「えー、ゼータってば大胆♪ そんなに見たい? ボクのお――」
「だー! 違うわーっ!! 
 何やってんだロッテー!? ドレスはどーしたっ、ドレスは!!」
「着てるよーに見える…?」
「腰を揺らせながら、にじり寄るなー! あ…耳に息を吹きかけんなっ…って…ー…」

 ―――。
 ひっくり返すのは、どーも無理っぽいです(笑)
 なんとかの像は、翌々日にフラフラになったゼータが、それでも頑張って見つけたよーです。

 その後合流したアッシュは、情け無い物を見る目を隠そうともせず、溜息付きつつもロッテに頭を下げてました。
 ロッテは、リーと合流して又旅に出て行きました。




「色々展開は有ったと思うのに。
 なんでこんな扱いよ、俺………(TT)」





 濡れ場なんかありゃしません。
 ――ごめん! 思いつくままに書いてたら、こーなったんやぁぁ!!(笑)
 エロいのは今度だね、今度(笑)

てるさんが、というかゼータさんが、ロッテをモノにする方法はないものか、と悩まれていたので、「書き手の心を変えさせるほどの萌え小説を延々送っていればそのうちどうにかなるかもしれませんよ、リリミケみたいに」と言ったら、本当に送ってきてくださいました(笑)
しかし……しかし!なんですかこれはー!(笑)肝心のシーンがないじゃないですか!(笑)
ということでこちらにアップ(笑)ゼータさんかわいそうに…(笑)
ということで!続編を首を長くしてお待ちしておりますので!(笑)
何かアッシュさんとかロッテの頭の回転具合とか、別のところで萌えな小説をいただきましたv(笑)どうもありがとうございましたーv