リーヴェルの日に、降る雪は特別な物だと言われている。
ゆっくり降り積もるその雪は、リーヴェルの思いの深さと。
恋人たちは暗い夜に舞う白い雪を見ながら、ロマンティックな思いに浸る。

リーヴェルの日に2人で降り積もる雪を見ると、愛が深まるという伝承を信じて。

ばさ。
「なっ、何するんですかっ!げほげほげほ」
「メリーリーヴェルでーす♪」
「何がメリーリーヴェルですかっ!いきなり上から粉なんか……っ」
黒い服のミケは頭から真っ白になりながら、転移してきたリリィに文句を言う。が、慣れた物でリリィはさらりと受け流して。
「雪です。ホワイトリーヴェルを2人で見ると、愛が深まるんですよ?」
さらさらと落ちてくる白い物を見てみる。ざらざらしていて、むしろ痛い。
「ていっ」
「きゃん!それはナノクニの砂かけなんとかさんの真似ですかっ!?いやーん、服の下にはいったー」
「さっきから、こっちも大変な目に遭ってますよ!なんなんですか、もー」
ばさばさと粉を振り払うミケに、リリィはにこりと笑う。
「あん、取れないから脱いで払わなきゃ。ミケさんも、脱いでぱたぱたーっとしたほうが楽ですよv」
「え」
ぐい、と引き寄せてローブに手をかける。
「え、ちょ……!」
「大丈夫です、私も脱ぎますからv」
「何が大丈夫ですかーーーー!っていうか、何を勝手に……っ」
ひょいと唇を寄せると、思い切り突き飛ばされた。
「うふふ、愛い奴よのぅvなーんて、きゃははは」
「…………もう一回聞きます。……何しに来たんですか、あなたはー!」
「遊びに来たんですv」
「帰れーーーーーー!」
放たれた風の魔法を避けて、リリィは笑う。
「うふふ、今日はうーんと遊んでもらうために来たんですv叩きのめして、ベッドに連れ込んでー」
「なんですか、その殺伐としたデート内容」
「あ、一緒に先にお風呂に入りましょうね?じゃりじゃりしてますからv」
魔法をことごとく吹き散らしながら、リリィはゆっくりと文字を描いていく。

「ね、私たちのデートですもの。静かに2人で真っ白な雪を見て愛を深めるなんて、間違ってるでしょう?あなたも私も。あんな白くて儚い物、似合いませんものね?」

白い粉は、海の中の生物の死体。
マリンスノーと呼ばれるもの。
水の中で見たら、きっときらきら輝いて地上の雪のように綺麗だろう。
けれど、それは無数の死であって。決してロマンティックな物ではなくて。

それでいい。

2人の間にあるのなら。
それは触れて消えてしまうような淡い思いの積み重ねではなく。
決して溶けずにそこにあるマリンスノーで。

「2人で、たくさんの死体を乗り越えて。殺して殺されて。……奪って奪われて。ね、楽しみましょう、この恋を」
「…………ふざけないで」
「やぁだ、ミケさん、私は本気ですよー」
「嘘ばっかり」
「どこがですかー?」
「恋とか愛とか、ありませんから」
「うふふふ、照れちゃって、可愛いですーv」
「照れてません!」

良く晴れたその年のリーヴェルの日。
けれど、そこにだけは。
溶けずに消えずに、海雪が2人を包んでいた。

……思いは、深まりましたか?

クリスマスものとして、相川さんに頂きました(笑)うふふ、ろまんちっ……く……ですね?(笑)
この2人にロマンチックはありませんとのコメントですが、全くそのとおりですね(笑)雪が積もったらその雪の上に押し倒していいですか?みたいなノリだと(笑)降り積もった雪をぐしゃぐしゃにして私の足跡つけるの大好きなんです、ねーミケさんv(笑)
…ところで、このマリンスノーはわざわざ海行ってかき集めて取ってきて乾かして袋詰めにして持ってきたんでしょうか(笑)……ほらー、最近ほっとかれてるからとうとうこんな凝ったことまでしてきちゃいましたよあはは(笑)相手にしてあげてください(笑)
相川さん、どうもありがとうございましたv