「ん?」
「こんにちは」
扉を叩いた少年は、ひょこっと顔を出し、微笑んだ。
「セイカさん、精が出ますね」
「ああ、ぬしか……ああ、せっかくだからな」
セイカの家に訪ねていくと、父親の遺品の整理をしているセイカがいた。
「すみませんね、入り口で声をおかけしたんですが」
「ああ、構わない。っと、すまない、今、茶を」
「僕が、入れますよ」
にっこりとアスは微笑んでセイカを制す。
「実は、せっかくのお休みですし、外へ散歩に誘おうと思ったんです。だから」
ポットにお茶を入れてきていた。
「……すまない」
「いいえ。僕がどうしてもあなたと一緒にいたくてしてきたことですから」
髪に付いた埃をアスはそっと払ってやる。戸惑ったような視線に自然笑いが零れる。
「その、整理はまた後でも良い。……散歩に、行くのだろう?」
手を逃れるように、染まった頬を隠すように。目を閉じたままのセイカは歩き出す。
「……別に、散歩に行く必要はないんです」
「?」
怪訝そうに振り返ったセイカに、アスはにっこりと微笑んでやった。
「あなたと一緒にいる口実ですから。あなたと一緒なら散歩でも整理でもいいんです」
「……ぬしは」
「はい?」
ため息。
そっと上げた視線。鮮やかなその瞳を見せてもらえて、アスは満足そうに笑う。
「ちょっと、動揺しました?」
「……ぬしは、本当は少し、意地が悪いと思うのだが」
「ごめんなさい」
困ったように笑えば。
セイカは少し視線を外して。
「……出かけよう」
「いいんですか?整理でしたら手伝いますよ?」
「別に、いい。……私も、ぬしと一緒にいたいから……誘いに乗りたい」
きょとん、とアスは目を丸くしてから……それはそれは幸せそうに笑った。
「はい!」

少し遠出して、お汁粉を2人で。
恋人同士には縁起が良いという話をして、また少し動揺させてしまったのも。
その目を見つめていたいからなのだと。
そう告げたら……彼女はどうするだろうとアスは思った。

相川さんのお誕生日プレゼントです。
コース料理になっていて、前菜、メインディッシュ、口直し、デザートとあったのですが、前菜とメインディッシュはちょっと明るいところに晒せるものではないのでデザートだけこちらに飾らせていただきました(笑)
相川さんとこのアスは、確信犯ですね(笑)そんな彼も好きです(笑)そしてまんまとのっかって照れちゃうセイカ萌え。
相川さん、美味しいものをどうもありがとうございましたv

ちなみに、口直しは美味しかったので独り占めさせていただきます(笑)