「じゃあ、ミケさん。またー」
「っていうか、一日おきくらいにひとに大怪我をさせに来るなー!」
「だってぇ、チャカさま忙しそうなんですもの。暇なんです、私」
「おのれ」
彼女の主人が忙しいときには、しょっちゅうと言っていいほど遊びにきては、骨の一本くらいは折って帰って行くわけで。
いかに、自分に回復魔法があるとはいえ、痛いものは痛い。
今日はまだ、どうにか魔法を使えばこの程度ならすぐに動けるようになるけれど。
「ふふ、それでね、今日はものすごーーーーーーく、暇なんです」
「……は?」
何を言い出した、今日は?
「なので、ミケさんがあっさり潰れた分、適当に時間を潰して帰ります」
「それはどういう」
「じゃ、またv」
にっこりと、微笑んで。彼女は踵を返した。
入ってきたときは魔法で侵入してきたくせに。
扉を開けて、出て行った。
…………。
「くそっ!」
魔法を、唱える。床に倒れているから聞こえる、その軽い足音。
だから。
「乗って、あげますよ……っ!」
大丈夫、立てる。まだ、ふらつくけれど、動ける。

暇なんだ。
どこかに行くなら魔法を使うけれど。
わざわざ、ドアから出て。
飛べるのにわざわざ歩いて。
全部、自分に分かるようにするということの意味。

追いかけてこいと、そう言うのなら。

扉を開いて、宿を出たところで気がついたリリィは楽しそうに笑うから。

死ぬほど悔しいけれど。

「待ちなさいっ!」
「ふふ、お茶を奢ってくれるなら待ってあげますv」

手は、伸ばした。

悩みました。
だって。

リリィ、普段歩いてないじゃん!(笑)

どうも、常にふよふよ浮いている印象があるんですが、間違ってないはずです。じゃあ、敢えて立ち去るのに、立てる音って何?魔法だって声にする必要ないし。衣擦れは、ちょっと。
悩んだ結果、ああなりました(笑)

頑張れ、リリミケ前提、ちょこっとラブ(笑)