腹立たしい事は、多すぎる。
それでも、初めて『彼女』を見たときに抱いた印象。

それは夢の中で会ったときにも、その後でも。

メイドの格好をしていたときには微妙な違和感があった。それは、魔法を解いたときに納得した。
使用人というには、あまりに堂々とした立ち姿だったから。
下を向くことはない。背筋を伸ばして、静かに立つその立ち振る舞いは……後に知った、女王であったからというよりも、己の中の心のあり方なのだろう。

全ては自分の意志のままに。
主に従うのも、策を立てるのも。全ては彼女の心から。
それに従う限り、俯くことも後ろを見ることもなく、まっすぐに立てるのだろう。
例えそれが。世に照らせば悪と言われることでも。

迷って、悩んで下を向いて。
だからこそ、彼女のその姿を、…………美しいと思うのだろう。あのときも、今でも思わず目を奪われるほどに。

負けたくなどない。
他の諸々は、真似をしてはいけない部分が多いけれど、少なくとも。

前を征くその姿が、あまりにも美しいから……少しでも近づきたいと願うのだろうか。

私がリリィって凄いなぁと思うのは、女王の時の心意気とか、闇に堕ちた今でも何ら変わらない心の強さとか、そういう部分です。彼女は下は向かない。自分で恥じるようなことはしてないと。それが世の中的に良くても悪くもですが。本人そんな気がないのかも知れないですけれど(笑)
だから、立ち姿が一番綺麗なんじゃないかなと思っています。ひとって、立ち姿に色々現れていると思いませんか?(笑)