「という話があったんですけど、お兄様ならどうなさいます?」
桜色のヒレの少女に聞かれて、グレシャムは、ふむ、と考える。
リゼスティアルの消された女王、その裏話は国外には出てこない話だ。弟達のいない今日、それを茶請け話にしてきた少女。まあ、そういうことなのだろう、と考えはした。
「ミケはなんと?」
「そんなことで女王を差し出して生きるくらいなら、国ごと滅べば良い、と言ってましたねえ」
「そうですか。まあ、一応大事な人は国外に逃しておきたいとか考えますが、うちは騎士家ですからね…持てる全てで国を守る方を、選びますね。それにしても、困ったものですねえ、ミケは」
「あらあら」
グレシャムは眉を寄せて呟く。
「もっと上手く、根回しして全部守る方法とかを進言して欲しいのですが」
「…お兄様の方針は?」
「私は本家の後継です。後の総領です。一族に号令かけられるので…理想論語るのが仕事ですので」
一つ肩をすくめて、グレシャムは苦笑する。
「裏切り者は全員殺すべきです」
「まあ」
「忠誠を誓った騎士が、誓いを裏切るなら、その場で死ぬべきではないですかね。少なくとも、うちの家訓では、誓いは何より重いですから、それを破る騎士なら私が殺します。戦って死ぬのが怖いとか負けて滅びるのが怖いから忠誠を捨てます、なんて、口にするものは騎士ではありません。逆賊です」
「戦って負けたら国が滅びますよね?女王様差し出した方が楽では?」
「我が家と一族なら死ぬまで戦いますので。国民逃して女王逃しておいて、再興するまで戦い続けますよ」
私ならそう命令しますので、と付け加えてからため息をつく。
「なので、だいたい私の無茶振りに対してクローネは部下達を生きて帰すために必死に根回しと情報収集します。ミケも頭いいのでそういう方向でやっていって欲しいですね」
「ひっどい当主ですねー」
「…誓いを守るために戦って死ぬのは良い。裏切って生きる選択肢など、我が家にはありえないのです。何かを誓った相手を裏切ることはないのです。守ると決めた何かに背を向けることはないのです。故に」
にこりと微笑む。
「ミケがあなたを守ると決めたのなら、私たちもあなたを守りましょう。私は、家族と国を守ると誓っておりますので」
「…わりとミケさんは、私に殺意があると思いますが、それは?」
「それはミケに任せます。あなたの事はミケに。大丈夫、あの子は、裏切らないから」
「私が、ミケさんを裏切ったら?」
「それもミケに任せます」
殺したいから手を貸せというなら手を貸すでしょうね、と言いながら、そんなことにはならないだろう、という顔をしている。
だから、リリィは。
「そうですねえ、ミケさんは、裏切らないでしょうね。そうである限り、応えてあげても良いかなって思ったりするんですよね」
「おや、高評価」
「…なにせ、私もただのか弱い人魚ですので!守ってもらわなきゃ死んでしまいますぅ。庇護者大事ですよ?」
「ええ、大事にしてあげてください。あの子、絶対日常生活で陥れられそうなので」
「ええ…本当に…」
ふー、と2人で遠い目でお茶を口に含む。魔導士としては強いけれど、頭も良いのに、どうして。
「あと、うちの家系、普通に一途な人が多いので、そこも大丈夫だと」
「知ってます」
「…そうですか」
ただ真っ直ぐに見つめる目は、変わらない。
それは、よく、知っている。
「お兄様は、クローネお兄様よりも話しやすいので。今後ともよろしくですー」
「嬉しいですね。こちらこそよろしく」
綺麗なものだけでなくドロドロしたものも選んでいける彼は、多分1番自分に近いのはわかる。だからこそ、面白い。
「さて、お仕事に戻りますかね」
「頑張ってくださいねー。私の大事な人が、あのまま生きていけるようにお仕事してください」
「当たり前でしょう」
席を立った男は、ふっと笑う。
「私は、家族と彼らが生きる国を守ると誓っていますので」

騎士としてはとても歪な誓いを聞きながら、この国を堕とすのは大変だったろうなあ、とリリィは思うのだった

相川さんからなんかいただきました!グレシャムさん、きょうだいの中で一番好きなのでたくさん喋ってくれてうれしいです(*´‐`)解像度が上がる!
グレシャムさんとリリィがちょっと似たところがあるというか、親和性が高いのが意外というかしっくりくるというか不思議な気分です。ぜひ描きたいので詳しい外見描写もお願いします!お姉さまも!wリリとお姉さまのヌン活は普通に描いてみたいw